最近やけに人気のあるエレスチャルとスケルトン。
どちらもとってもステキな水晶なんだけれど、ちょっとまって。
実は私、いったいなにをもってエレスチャルというのか、スケルトンというのか、よくわからないのです。
例えば。
「英名:エレスチャル、日本名:骸骨水晶」
「エレスチャルの一種であり、水晶の最終形態である」
と、こう紹介されていることが非常に多いのですが、これ意味がわからない。
まず、名称。
「エレスチャル」という名前はあくまでもパワーストーン名であるということ。
まあ、これはいいでしょう。
しかし、「骸骨水晶(がいこつすいしょう)」または「骸晶(がいしょう)」、
これは鉱物用語としてしっかり存在しているのです。
骸骨水晶と骸晶は同じものだけれど、どちらかというと骸晶の方が鉱物としては一般的かな。
それで、鉱物用語として存在しているということは水晶の特殊な形態の
ひとつとして研究されているということになる。
そして、この骸晶こそが英名でスケルトン。
ところが、この骸晶(スケルトン)として紹介されているエレスチャルを見ても、
とても骸晶に見えないものが多いのですよ。
しかもエレスチャルと紹介されている水晶もイマイチそれが何かハッキリしていないように思える。
エレスチャルの一種で水晶の最終形態というのもわからない。
だから、あらためてこのふたつの定義を確認してみようと思ったのです。
そこでまず、エレスチャルってなに? ってことから。
何年か前にスーパーセブンっていう水晶が流行ったことがあったでしょう。
紫と煙が混じった水晶に数種類のインクルージョン(内包物)が入った水晶。
あくまで聞いた話なんだけれど、そのスーパーセブンは
もともとエレスチャルって呼ばれていたらしい。
しかし、セブンといっておきながらインクルージョンが2種類ほどしか
入ってなかったりすることも多く、「ぜんぜんセブンじゃないじゃん」って苦情が多かったそうだ。
そういうことがあって、現在スーパーセブンという名称がなくなり、エレスチャルに一本化されたという感じかな。
しかし、「どういうものをエレスチャルというのか」という定義はハッキリしていない。
もちろん、スーパーセブンと呼ばれていたときもあるのだから、
そのスーパーセブンが持っていた特徴をある程度持っていないとエレスチャルとは呼ばないそうだ。
まず、色としては、無色、煙、紫の全部、またはいずれかであること。
インクルージョンはレピドクロサイト、ゲーサイト、ヘマタイト、カコクセナイトの全部、
またはいずれかが入っていること。
現在、この条件に該当するものがエレスチャルと呼ばれているそうだ。
ところが!
そうじゃない! あくまでもエレスチャルはその形につけられた名称なのだ、
と紹介しているところもあるのです。
以前よく見かけたジャカレーとかアリゲーターがそれ。
どちらもゴツゴツした水晶で、こちらはあくまでも形が優先。
それらこそが本来のエレスチャルなのだそうだ。
この説が本当ならば同じゴツゴツした印象のスケルトンがエレスチャル
としてひとくくりにされているのも何となくわかる。
そして、その後、紫や煙など色が付き、さらにインクルージョンのある
エレスチャルが産出し、それが爆発的な人気になった。
そのため「色付きインクルージョン有り」が一人歩きし、それこそがエレスチャルで
あると勘違いされて現在に至っているということだった。
んー、なるほど。
これならまったくの無色でインクルージョンなしのエレスチャルが売られているのも理解できる。
以上、エレスチャルというものが何なのか、おぼろげに見えてきたような気がしないでもない。
しかし、「これがエレスチャルだ」といいきれるものがないこともわかる。
これは私たちひとりひとりが独自に「エレスチャルはこういうものだ」と考えるしかないんじゃないかな。
結論
エレスチャルは個人によって認識が異なる。
と、まあ、これでいいのではないでしょうか。
つづいて、スケルトン。
辞書には「骸骨」「骨格」と書いてある。
エレスチャルはパワーストーン名だけれど、スケルトンは鉱物名。
だから、なにをもってスケルトンとするかという定義もハッキリしている。
そこでまず、スケルトンの見た目上の特徴として、「凹んでいる」というものがあるのです。
あ、いや、凹んでいるだけなら、どの水晶も凹凸は有るわけだから
珍しくも何ともないんだけれど、スケルトンはなんと結晶面が凹んでいるのです。
本来は面だから平らでフルフラットであるはずの結晶面が、
まるで巨大な露天掘りのダイヤモンド鉱山のように階段状に結晶面の中央部に向かって凹んでいる。
そしてそれがモノによっては結晶面全面に起こっている場合もある。
これがスケルトンの最大の特徴であり、スケルトンが一般的な水晶と
区別されスケルトンと呼ばれる所以なのです。
それで、何が違うかというと、出来るときの条件が違う。
難しいところをはしょって、なるべくシンプルに書いてみますね。
地下深くのある場所に水晶の元になる二酸化珪素が十分含まれていると
結晶して水晶になる。これが一般的な水晶の出来方。
ところが、もしそこに十分以上(過飽和)の二酸化珪素があった場合、
水晶はちょっと変わった育ち方をする。
まず、水晶の輪郭部分が異常に早く成長する。
写真は水晶の結晶図。
水晶の絵を描くときにはこの図のように輪郭を描くよね。
その輪郭の部分が異常に早く成長するのです。
その輪郭の成長に結晶面が追いつかない。
結果、結晶面が凹んでしまう。
さらに、まったく成長が追いつかない場合、凹みはどんどん深くなり、
まるで結晶の奥深くに続く洞窟のようになってしまうのだ。
こうして出来た水晶がスケルトン。
輪郭とは書いたけれども、「骨格ばかりが成長した水晶」と考えれば間違いない。
そしてこれがスケルトンの定義。
簡単な図を描いてみるとこんな感じ。
希にだけれど売っているのを見かけたことがある。
いい、希にだよ。
以上のように考えてみるとスケルトンが水晶の最終形態というのも変な話だと思う。
水晶はあくまでも先に紹介した結晶図が水晶。
スケルトンだって、自然のものだから複雑な形をしているけれど、
この結晶図からはみ出したりしていない。
また、異常に早く育った結果なのだから一般的な水晶に比べて、
遙かに長い時間をかけて成長したわけでもない。
それに私の考えなんだけれど、地中にいる限り水晶は地殻変動や熱の
影響を受けて変化し続けていると思うんだ。
だからそもそも最終形態なんてない。
強いて最終形態というのならば、地中から掘りだした時点ですべての水晶が
最終形態といえるんじゃないだろうかと思っているよ。
でも、みなさん、ひとつひとつの水晶はそれぞれ一生懸命育ってきたと思うんだ。
もちろん好みはあってしかるべきだけれど、出来ることなら水晶に上下をつけるんじゃなくて、
みな同じように愛してもらえたら嬉しいなって思っています。
それにしても水晶、奥が深い!