もうすぐクリスマスですね。みなさんはどう過ごされますか。
もう予定は入っていますか。
どなたにとってもステキなクリスマスになるといいですね。
さて、クリスマスなのでクリスマスカラーの石をご用意いたしました。
イタリアの国旗じゃないよ。
ひとつの石の中に2つの色を持つバイカラーの石は数あれど、
この石ほどそれが当たり前みたいになっている。そんな石は他にありません。
その石とはもちろん、トルマリン!
しかし、ただのトルマリンじゃないよ。
トルマリンの中でももっとも希少でもっとも美しい
エルバイト(リチア電気石:リチアでんきいし)なのですよ。
一般的に広く普及しているけれど、基本的にトルマリンという名称は
宝石名で鉱物名としてトルマリンという名称はないのだ。
トルマリンとしかいわないと真っ黒けのショール(鉄電気石:てつでんきいし)も
含まれちゃうから、あくまでもエルバイト。
エルバイトといえばもう、色とりどりの宝石としてのトルマリンしか指さないのです。
ま、でもトルマリンの方が名前が売れているからトルマリンでいくけどね。
トルマリンについて詳しいことは第27回で書いているので、そちらを見ていただくことにして、
今回はクリスマスとともに、この色とりどりのトルマリンを楽しんでもらいたいと思います。
まずはトルマリンに一番多いと思われる緑。
宝石名としてヴェルデライトという名前がついている。
2番目はたぶんこれ。オレンジというかピンクというか赤。
これの宝石名は有名、ルーベライト。
そして、なんといってもこの2色をあわせたバイカラーがトルマリンの真骨頂。
どうだ! この美しさ。
私は初めてこのバイカラーを見たとき思いっきり感動したぞ。
なぜこんなに色がハッキリクッキリ分かれているのか、その原因は
今でもよくわかっていないらしいのだが、なんだかそれも含めてスゴイではないか。
今回はクリスマスカラーということで、緑と赤と思っていたのだけれど、
調べてみるとバイカラーって緑と赤のクリスマスカラーがほとんど。
なかなか他の色がないんだよね。あんまり気にしていなかったことだけに意外でした。
ここまでハッキリした青はちょっと珍しいと思う。
そして、パーティカラーといって3色のものもある。
パーティって「集まり」って意味だから、3色以上はみんなパーティカラーでいいみたい。
それにしてもこのトルマリン、黄色だよね。
原石ではちゃんと黄色ってあるんだね。見たことなかったなあ。
そして忘れてはいけないトルマリンがウォーターメロン。
その名の通りスイカ。
スイカと同じ色を持ったトルマリンで結晶の外側が緑、内側が赤。
もちろん、結晶の状態では中が見えないからただの緑のトルマリン。
でも断面を見てみるとそのまんまスイカ。
すごいよね、上下で分かれているだけじゃなく、内と外でも分かれているんだから。
ちなみに私は夕張メロンが一番好きです。
あと有名どころではインディゴライトとパライバ。
どちらも青なんだけど、パライバはネオンブルー。(私はネオングリーンをパライバとは認めないぞ)
左がインディゴライトで右がパライバ。
上手く写真が撮れてないけど、なんとか微妙な色の違いを見て取ってください。
ところで、トルマリンってかなり最近になってつけられた名前だって知ってた?
もともといろんな色を持っていたこの石は、色ごとに全部違う石だと
考えられていてそれぞれに名前がついていたんだ。
ピンクはルーベライト、青はインディゴライトという感じで。
それが、18世紀になってぜんぶ同じ種類の石ってことがわかって、
あらためてトルマリンという名前がついた。
歴史的にはルーベライトとかインディゴライトという方が正しいんだけど、
宝石としては同じトルマリンということで、現在はピンクトルマリンとか
ブルートルマリンと色で呼ぶような方向になっているそうだ。
ちなみにエルバイトという名称は科学的な分類としての名称なので、
さらに最近になってつけられたもっとも新しい名前だよ。
七色の色を持つというトルマリン。
色目は写真のとおり。
そしてやっぱり気になるのは、なぜこんなに色が多いのか、
なぜバイカラーとかのようにひとつの石の中に複数の色が存在するのかってことだよね。
トルマリンを構成している元素は8種類くらいあって化学式も凄く長いんだけど、
その中には色の原因になる元素は含まれていないんだ。
調べてみると、結晶中に、鉄・マンガン・チタン・クロム・バナジウム・銅、などが
若干含まれて色がついているらしい。
こんなふうに他の元素によって色がつくことを他色性(たしょくせい)というんだけど、
ルビーやサファイアも同じ理由。
で、結晶が出来るときにこれらが取り込まれるんだけれど、
せーので一斉に取り込まれるわけじゃない。
あくまでも私の想像だけど、元素によってイオンになる順番があるように、
結晶に取り込まれる順番があるんじゃないだろうか。
マンガンしかなければそれしか取り込めないけれど、チタンとクロムがあったら、
先にチタン、次にクロムという感じで決まっているのではないかな。
だからバイカラーも生まれればウォーターメロンも出来る。
もちろんこの考えは間違っているかもしれないけれど、こんな考えもアリかもねって思うんだ。
それでこのトルマリン。本当に色目が多い。
私も全部の色を見たことはないんだけれど、もし全部集められたら立派なコレクターだね。
それでは最後に新しいトルマリンをひとつ紹介しておきます。
それはリディコータイト(リディコート電気石:リディコートでんきいし)。
1977年にマダガスカルで発見されたばかりのトルマリン。
初めはエルバイトだと思われていたのだけれど、研究が進みエルバイトとは
ちょっとだけ違う新しいトルマリンだということがわかった。
かなり希少で高価だけれど、よく探すと売っているから、他人とは違うものを
集めている人は要チェックだよ。
そうそう、クリスマスプレゼントはリディコータイトっていうのもアリかもね。