暑さ寒さも彼岸までとは申しますが、まだまだ暑い日は続きそうですね。
そこで、この残暑を乗り切るために今日は青い石のご紹介です。
青い石とくればあれやこれやたくさんありますが、ここはひとつ身近であるにもかかわらず、けっこうレアな石ということで青い水晶というのはいかがでしょう。
青水晶はもとから青い石というわけではなく、青くなった水晶。
紫、黒、黄は数あれど青は意外と少ないのです。
みなさん、青水晶を愛でて気持ちから涼しくしていこうではありませんか。
その1
インディゴライト・イン・クオーツ
もっともメジャーな青水晶。
インディゴライトの結晶が無数に入り込むことによって青くなっている。
ものによっては針のように何本も入ったインディゴライトを確認できるけど、まったく目に見えないくらい小さなサイズの結晶が入ることもある。
その場合は均一な青。インディゴライトの青がそのままその水晶の青になる。
どちらがいいかというと、これは好みの分かれるところ。
私はどちらかというと結晶が見える方が好き。
※画像はウィキペディアより
写真はインディゴライト・イン・クオーツではなく、インディゴライトそのもの。
ちょうどいい写真がなかったもので、ゴメンナサイ。
この色で水晶になる。スバラシイ!
注)インディゴライトは青いトルマリンの宝石名。
ところが、トルマリンも宝石名で鉱物名はエルバイト(リチア電気石:リチアでんきいし)
その2
クロシドライト・イン・クオーツ
ホークスアイのあの青がクロシドライトの青だよ。
リーベック閃石(リーベックせんせき:リーベッカイト)の青くなったものがそれで、日本名は青石綿(あおいしわた)。一般的な名称はアスベスト。
だから繊維状で一方向に並んで水晶の中にいることが多い。
現在は使われていないけど、アスベストって過去に断熱材として、壁とかにたくさん使用されていた鉱物。
細かい繊維が飛び散って危ないって問題になったけれど、水晶の中に入っていれば飛び散ることはないから安全。
※画像はウィキペディアより
ビミョーに正確ではないのだけれど、写真はどちらもクロシドライト。
色は左の青で、右の繊維状ってところかな。
ただ、リーベック閃石は角閃石グループのひとつで、含んでいる成分が徐々に変化していくと別の角閃石になる。
そういう性質上、ひとつの石の中で成分に偏りがあったりする。
偏りがあると色も変化するから色むらが生じやすい。
もちろん自然のものなのだから、それはクロシドライト・イン・クオーツの特徴なのだ。
その3
アエリナイト・イン・クオーツ
※画像はウィキペディアより
変な形!
こんな形の水晶大好き。
って、形じゃなくて色なんですけど、写真じゃあまり色が判らないね。
※画像はウィキペディアより
これなら青っぽい色はわかるけど、いまいちキレイかっていうと、ちょっとビミョー。
※画像はウィキペディアより
アエリナイト本体がこれ。
これがそのまま入っていれば、さぞかしキレイな青水晶なんだと思う。
その4
ブーランジェ鉱入り水晶
(なぜかこれだけ日本語。深い意味はありません)
※画像はウィキペディアより
針状の鉱物がブーランジェ鉱(ブーランジェライト)。
こ、これは青いのか? どうなんだ?
私はブーランジェ鉱入り水晶は青水晶だというふうに聞いていたんだけれど、この写真を見る限り青なのか?
ちょっと無責任な書き方をしているのは、私はまだこの石を見たことがないからだ。
見たことがないのに紹介するのはどうかとは思うのだけれど、青水晶の中では
比較的知られている石らしいからいいことにしよう。
で、この石は水晶だけではなく、カルサイト(方解石:ほうかいせき)や
フローライト(蛍石:ほたるいし)に入っていることも多い。
もし、それらに針のようなものが入っていたら、ブーランジェ鉱の可能性が高いよ。
と、ここまで紹介したところで、もうみなさん気がついていると思うのですが、
これらの青水晶はすべてインクルージョンによる発色なのです。
水晶は純粋なものはまったくの無色。
その水晶に色がつく原因として2通りのことが考えられる。
ひとつは紹介したように、水晶の中に他の鉱物が入り込み、その鉱物の色で発色するもの。
もし、水晶とその鉱物を分離することが出来るとしたら、水晶はまったくの無色なのだ。
そして、もうひとつは水晶の分子の一部が鉄やアルミの原子に置き換わり、
それが元で発色するもの。
このパターンの水晶は水晶自体が紫や黄色に色づいている。
もちろん、どう頑張っても分離できない。
そう、この後者のような、真の青水晶はないのか!?
○○・イン・クオーツではなく単純にブルー・クオーツといえる青水晶はないのだろうか。
そこでさっそく文献をいろいろ調べてみたところ、ないわけではないらしい。
過去にブラジルで青石英がほんのわずか産出したことがあるそうだ。
写真も見たのだけれど、んー、濃い紫水晶からちょっと赤みを抜いただけのように見えて、
スッキリとした青ではなかった。
それなら人間の手の加わったものならあるんじゃなかろうかと思ったのだけれど、
これもまたほとんどない。
グリーン・クオーツならあるんですよ。
緑水晶。
アメシストを温度を変え数回加熱処理するとグリーンに変色する。
ほら、グリーン・アメシストってあるでしょ。
ただ、ブラジルの一部からわずかに産出するアメシストのなかに、
数回の加熱処理と高エネルギー電磁波照射をおこなうとブルーになるものがあるらしい。
なんか大変そう。
んー、そうまでして青にしたいの? なんて、思ったり思わなかったり。
ところが、さらに調べてみると合成水晶としてはブルー・クオーツはすでに作られていたのだ。
コバルトや鉄、アルミを上手に配合して作るそうなのだけれど、これはキレイだったな。
天然でどうしても出来ないんだったら、合成でもいいからひとつ欲しいところ。
ま、合成の難点はポイントの形にならず板状に出来上がるってところだけれど。
でも、それはそれで持ってたら自慢できそうだ。
いつかはこれらの処理も簡単に出来るようになって、いつか店頭にたくさん
並ぶようになる日が来るんだろうか。
そんなわけで、インクルージョンによる青であっても、合成であっても青い水晶は美しいと思う。
この青水晶、レアなだけに本気で集め始めたら、涼しくなるどころかさらに熱くなっちゃうかもね。