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地球のかけら

【第78回】珪化木

2011年8月 1日

先日、小田原にある県立地球博物館を見に行ってきたんですよ。
この博物館、恐竜の化石や鉱物もたいへん充実していて、
夏休に入ったばかりの子供たちがそれらの展示物に群がってましたね。

もちろん、その子供たちはライバルです。
って、ちょっと大人げないですか。


そんな博物館の1階に巨大な珪化木がドーンと横たわっているスペースがあるのです。
ところが、なぜかそこにはあまり子供たちがいない。
ハデな色の鉱物に比べて珪化木は地味だからかな。
何人かはいるんだけど、またがって遊んでいたり、座って休憩しているって感じ。


ふふふ、甘いな。


珪化木こそその姿に自然の偉大さを見ることが出来るのだ。

78wj_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより

写真は地球博物館の珪化木ではないけれど、大きさは同じくらい。


ところで、前回の続きっぽくなるけれど、石英って、
いやいや正確には二酸化珪素ってやっぱりすごいなって思うんだ。

地球上でもっとも多いということもあって世界中でその鉱物は見つかるけど、
水晶にもなるしメノウにもオパールにもなる。
さらにガラスとして私たちの生活に欠かせないものだったりもする。

そのスゴイなって思う理由のひとつに、二酸化珪素には
「染み込む」っていう性質もある。
染み込むって、ちょっとピンとこないかもしれないんだけど、
植物など有機物の細胞の中にまだ石化していない
二酸化珪素が染み込むということ。


例えば樹木が倒れ土に埋まる。

その土が十分な二酸化珪素を含んでいた場合、
長い年月をかけ細胞の水が抜け二酸化珪素がかわりに染み込み、そして固まる。


要するに木が化石になるわけだ。
それが珪化木(けいかぼく)。

植物の細胞をそのまま残して石化しているのだから
年輪とかがそのまま残っている。
キレイな珪化木はまんま木にしか見えない。
木だと思って持とうとするとズッシリ重い。

78wja_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより


これは兵庫県で発見された珪化木。
こんなに美しいものなら、このまま飾っておきたいね。


話は戻って、なぜ珪化木が自然の偉大さを見せてくれるのか。
それはその珪化木を観察すればすぐに判る。
珪化木は二酸化珪素なのだ。
単に木が石になっているだけではない。
まるで木にしか見えないその隙間に何かがたくさん立っている。
森の中で朽ちている木にはえているのはキノコだけれど、珪化木にははえているのは水晶だ。 
探せば水晶はあちこちに立っている。

さらに部分的にメノウになっているところもある。
同心円上の縞々が何か所にもあり、その中心には小さな水晶が密集している。

さらにさらに、ところどころ真っ白くなっている部分もある。
これはオパールだ。
残念ながら七色の遊色は見られないけれど、
この珪化木を輪切りにしたなら、もしかすると中心近くに
遊色を持ったオパールがいるかもしれない。 

そう、珪化木は珪化木というひとつの石の中に、
二酸化珪素がとるいくつもの形態を見せてくれるのだ。
こんなにすごいことが起こるのは二酸化珪素が
染み込むことで作られる珪化木しかあり得ないと思う。

(※上記は、珪化木を手にしたときや、博物館に行ったときに探してみてね!)


さて、その珪化木、一般的にウッドジャスパーって呼ばれているけど、
実はそれは日本語。日本でしか通じない和製英語。
正確にはペトリファイドウッド(石化された木)という。
このペトリファイドという単語は覚えておく必要があるけれど、
簡単に憶えられる単語じゃないよね。

それに、やっぱり私も日本人。ウッドジャスパーの方が何だかしっくりくる。
だから正式名称ではないと知った上でウッドジャスパーと呼ぶならば問題ないと思う。


珪化木は基本的に日本中どこででも見つけることができるんだけど、
やはり一番探しやすいのは海岸とか河原じゃないかな。

78wjb_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより


珪化木は年輪が模様として残っているものが多いから、
上の写真のように線が入っているものは珪化木である可能性が高い。

78_wj3.jpg
写真は岩手県久慈市の海岸で見つけた珪化木。
実はこれ以外にもたくさん落ちていた。
一番それとわかりやすく、大きさ的にちょうどいいものとして、
ひとつだけ持ってきたのがこれ。


それと岐阜県には土岐石(ときいし)といって
特別に名前のついている珪化木がある。
けっこうな人気で探している人が大勢いるらしいよ。
色だって緑、赤、黄色とけっこうカラフル。


季節は夏。海へ山へ行くのなら、ぜひ珪化木を探してみてね。

 

 

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