上の図は第26回の記事で書いた石英グループの分類です。
正確には二酸化珪素で出来ている石のグループなんだけど、
二酸化珪素っていうと何だか難しくなっちゃうから石英グループってことにしています。
で、この図でいいたかったことは玉随(ぎょくずい)グループが何だかやけにヤヤコシイってこと。
詳しいことはこの時の記事に書いているんで、またあらためて読んでみてね。
(2008年3月の記事だよ)
さて、この玉随グループの中でもっとも人気があるのは間違いなくメノウなんだけど、
実はメノウってとっても地味だと思うのです。
結晶鉱物でないメノウはハッキリと決まった形があるわけではなく、
表面から見ているだけでは特徴的な縞模様が見えない。
あの縞々が見えないんじゃメノウの良さは完全に隠されているといってもいいくらい。
ところが、カットや研磨など加工されビーズやコースターになると、
その魅力が10倍にも20倍にもなってしまうのがメノウのスゴイところ。
あの縞々を生かした天眼石やアイアゲートなんかは、よくぞメノウの魅力を
ここまで引き出してくれましたと感謝してしまうほどなのです。
ところで、メノウの縞々ってなんで縞々になるんだろう。
ちょっと不思議に思いません?
※画像はウィキペディアより
そこで調べてみるとリーゼガング現象なるものがあることがわかった。
例えば、2種類の液体を混ぜると普通は2層に分かれるよね。
水と油が分かれるように、ラーメンのスープの上にしっかり油が浮くように。
ところが、その2種類の液体が、サラサラではなくドロドロジェル状だった場合は
単純に2層に分かれるわけではないらしい。
もちろんいろいろ条件はあるらしいのだけれど、なんとそれらが反応して、
さらに反応して出来たものが縞状に沈殿するのだそうだ。
※画像はウィキペディアより
写真はリーゼガング現象実験の写真。
見事な縞々。
メノウの縞々の原因はこのリーゼガング現象だとされている。
ちなみに、帯状になったものをリーゼガングバンド、同心円状になったもの
をリーゼガングリングと呼ぶらしい。
話は変わって、そんなメノウを一度だけ採集に行ったことがある。
採集を始めて間だまもない頃、産地で出会った人にもらったメノウが
何とも不思議な感じのメノウだった。
※
画像はウィキペディアより
もう豚の背油に見えて仕方がないけれど、いちおうサードニクス(赤縞メノウ)。
茨城県を流れる久慈川の支流にたくさん落ちていると聞いてさっそく採りに行ってみたのだ。
結論からいうと、だいたいの場所しか聞いていなかったため、
その場所にたどり着くことも出来ずメノウを自分たちで見つけることは出来なかったのだけれど、
なんと道に迷っている途中でもっと珍しいメノウを見つけることが出来たのだ。
これは仏頭状メノウ(ぶっとうじょうめのう)と呼ばれるとても縁起のいいメノウ。
ポコポコしている部分が仏様の頭のように見えることからこの呼び名がついた。
さすがにこれをビーズにすると意味なくなるよねえ。
これを見つけた沢はホントに誰も探していなかったらしく、
拳ほどの大きさのものがバケツ一杯ほども簡単に集められた。
ちなみに、本当に行こうとしていたサードニクスの産地はその沢の上流だったらしい。
で、ここでひとつ注意があります。
正直、この仏頭状メノウってメノウじゃないよねえ。
だって、縞々がないもの。
どう見ても玉随(ぎょくずい:カルセドニー)なんだよね。
にも関わらず、玉随をメノウと呼ぶことがしばしばあるのです。
でも、これは単に呼び方だけのことだから、深く考える必要はありません。
ああ、そうなの。くらいですませてくださいね。
こんな感じで、どう見ても玉随なのにメノウと呼んでいるものが他にいくつかある。
・モスアゲート
※
画像はウィキペディアより
緑泥石(りょくでいせき:クロライト)など別の鉱物が入り込んでまるで風景のように見えるものもある。
ガーデンクリスタルと同じ系統。
アゲートとは呼んでいるけど、やっぱりカルセドニーの方じゃないのかな。
・ファイヤーアゲート
この石は不思議だよ。
表面に丸い模様が見えるけど、この模様は表面にはない。
1ミリか2ミリほど中にある模様が透けて見えている。
この模様がまるで今にも溶岩がボコッと吹き上がる瞬間のように
見えることからファイヤーアゲートなのだと思う。
でも、やっぱりカルセドニーじゃないのかなって思ってます。
これらを見ていくと、メノウと玉随は意外とハッキリとした線引きがされていないような感じがする。
でも、どの石も多かれ少なかれそういうところがあるから、
本に書いてあったというのはあまり気にせずに、自分なりの基準を持つのがいいと思うよ。