※画像はウィキペディアより
今回は金(きん:ゴールド)について書きますよ。
お正月第2弾というにはもう2月だけれど、2月3日は2011年の節分であり旧正月だから、まあよしということで。
で、なんで金かというと、お正月に金沢に行って来たんです。
金沢は加賀百万石の城下町。兼六園を始め九谷焼、輪島塗、友禅などたくさんの文化がありますが、その中に金箔の文化もあるんですよ。
お土産にその金箔の端切れを買ってきたんですが、さすが箔でも金は金。眺めているとその輝きにウットリするのです。
※画像はウィキペディアより
でも、ひとくちに金といっても金ほど特殊……、いや特別な鉱物はない。
化学的に非常に安定している金は、錆びない変化しないということから古代では永遠もしくは太陽そのもの代名詞だった。
今でもその考えを受け継いでいる人は世界中にいるけれど、現代においての金は円やユーロと違い、相対的に価値の変わらないものとして投資の対象になっている。
投資の対象となる鉱物。それが金のもっとも特別なところだ。
経済的な話はよくわからないので、鉱物としての特徴を考察してみた方がいいよね。
まずは重い。とにかく重い。
どのくらい重いかというと、例えば、掃除をするときにバケツに水を入れるよね。
七分目くらいまで入れて、重いなって考えながら運ぶと思うんだ。
で、もしその水が金だったとしたら。
確実に持ち上がらない。きっと地面にバケツが固定されているんじゃないかと
いうくらい持ち上がらない。だって、それだけで100キロ超えてるはずだから。
「お代官様お納めください」
「ほっほっほ、越後屋お前もワルよのう」
といって、饅頭の下に小判の隠れている箱をスーッと差し出すシーンを
時代劇でよく見るけれど、アレもムリ、あり得ない。
きっと20キロはあると思うから。
スーッて腕を伸ばしたら、たぶん自分が後ろにさがっちゃう。
そのくらい重い。
さらに金は軟らかい。
歯で噛むと歯形が残るくらい軟らかい。
その昔は歯形が残るものが純金。残らないものが偽物とされていた時代もあったほど。
そしてその柔らかさが金の利点でもあり欠点でもあるのだ。
利点としてはものすごく薄く伸ばして金箔にできるということ。
1グラムの金がタタミ一畳にも広がるくらい薄くできる。この金箔を貼れば、いろんなものを金ピカにできる。
家中を金ピカにしても思ったほどお金はかからない。まあ悪趣味かどうかは人それぞれではあるけれど。
ところが、ジュエリーやアクセサリーになると、今度はそれが欠点になる。
軟らかすぎて強度が確保できないのだ。
ダイヤモンドの付いている指輪の台がもし純金製だったなら、
おそらく一週間以内にそのダイヤモンドは指輪からはずれどこかへ行ってしまうだろう。
しかし大丈夫。
金は他の金属を少し混ぜることによって格段に強度が増す性質も持っている。
そのぶん純度は下がっていくのだけれど、強度を上げるためにはしかたがない。
だから金のジュエリーやアクセサリーには必ず純度を表す数字が刻印されている。
それが18金(K18)とか24金(K24)などの数字。
これは世界共通の表示なんだけど、「それ何?」って思ってた人もいるんじゃないかな。
これは金の純度を24分率で表したもの。
24金が100パーセントの純金を表している。
アクセサリーなどでもっとも多く見られる18金は純金の24に対し18だから
75パーセントの金を含んでいるという意味になる。
K18の「K」は「KIN」の頭文字の「K」ではなくて、カラット(Karat)のことで、
宝石の重さを表すカラット(Carat)とは区別しなければならない。
でも語源は同じイナゴマメのギリシャ語名 keration からきているらしい。
でも、なぜ24分率なのだろう。初めから百分率(パーセント)で表してくれればめんどくさくないのに。
理由として金はものすごく歴史が古く、昔の風習が残ってしまったっていうことかな。
24分率の由来としては「天秤で量っていたから」というものもあれば「1日が24時間だから」と
いうものもあって、とにかくよくわからないというのが本当のところだと思う。
要するに深い意味はないってこと。
よって最近、インゴットとかコインなどの宝飾品以外の金には百分率や
さらに細かくした千分率(パーミル)が使われるようになっている。
※画像はウィキペディアより
上はインゴットの写真。
999.9パーミル(99.99パーセント)の表示がある。
どちらも9が4つ並んでいることからフォーナインと読む。
このフォーナイン以上が24金、純金と認められる。
プラチナやシルバーは初めから千分率が使われているね。
Pt900とかSV925などがそれ。
金の元素記号はAuだから、そのうち18金だったらAu750なんて表記になるかもね。
ところで、同じ金なのにピンクゴールドとかホワイトゴールドのカラーゴールドってあるでしょ。
これは他の金属を混ぜることによって色を変えた金のこと。
・ピンクゴールド
銅を20パーセントほどまぜたもの。
これでかわいいピンク色。
銅をもっと増やすと、赤くなってレッドゴールドになる。
・ホワイトゴールド
ニッケル、またはパラジウムを混ぜたもの。
さらに銀や亜鉛なども加えるとホワイトになる。
他にもグリーンゴールドとかイエローゴールドとかあるけれど、
みんな同じように別の金属を加えて作っている。
オシャレになる上に強度も確保されるナイスなゴールドってことですね。
あえていいますけれども、純金のカラーゴールドはあり得ないです。
そういえば、しばらく前は18金以下の金は見たことなかったんだけど、
このご時世、10金とか9金とかも多く見かけるようになってきちゃいましたねえ。
さて、話は変わって金は全世界で産出します。
もちろん日本でも何百年も昔から金は採掘されている。
一番有名なのは新潟県の佐渡金山かな。
現在日本国内で稼働している金鉱山は鹿児島県の菱刈鉱山(ひしかりこうざん)のみ。
でもね、日本には実はかなり多くの金山があったんだ。
ただ、それが記録に残っていないだけ。
なぜなら、金山は当時の政府や幕府にとってものすごく重要な施設。
ほとんどがその存在を隠されていたから。
たくさんあった金山も、その多くが鉱夫ごと隠され歴史の中に忘れられていった。
現在、隠された金山はその地名に名を残している。
「金山(かなやま)」「金平(かなひら)」など、「金」という文字の入っている地名は、
その昔そこに金山があった可能性が非常に高い。
そんな中でも有名な佐渡金山のような金鉱山はいったいどれだけ大規模な鉱山だったんだろうと思う。
その佐渡金山を見学に行ったことがあります。
鉱夫の蝋人形が怖かったです。だって、私を見て笑うんだもん。
首がギギ…っと回って
え、まあ、それはおいといて。
金鉱脈は石英脈のなかに含まれる形で今でも残ってました。
この金を含んだ石英が銀黒(ぎんぐろ:エレクトラム)というんだけど、
たぶん銀を含んでいるせいで真っ黒になっているからそう呼ばれるようになったんだと思う。
その銀黒が売られているんだけど、高くて手が出ない。
拳くらいの大きさで何万円もする。
そのくせ黒くて金色もしていないから金鉱石だとわかっていても、ピンとこなかったりする。
このように鉱山とか山の中から掘り出されるような金を総称して山金(やまきん)と呼んでいる。
でも銀黒という名前からもわかるように、山を掘っていていきなり高純度の金が
出てくるわけじゃないから、山金を探してもあまり楽しくはない。
まれに写真のような山金も出るときがあるけれど、これも銀を多量に含んでいるため、
いずれは真っ黒になると思う。
反対に砂金探しは楽しいぞ。
もちろん根気はいるけれど、川底の砂を専用の皿に入れ軽い砂を徐々に流していく。
椀掛け(わんがけ:パンニング)という方法だけれど、これなら最後の最後に
残った金色のものは確実に金だ。
しかも低純度の山金に対して砂金は24金。そのまま純金が出てくるんですから。
とはいえ、せっかちな人も多いらしく、そういう人はしっかり流さないうちに
キラリと光るものを金だと思い込むらしい。
博物館の先生に聞くところ「金を見つけた!」といって喜び勇んで
持ち込まれるそのほとんどがパイライトか金雲母なんだそうだ。
ちなみに本当に根気がいるんで、根性無しの私たちは未だにまともに見つけられていません。
ところで、山金が低純度で砂金が純金ってことになると、ちょっと疑問が生まれませんか。
私もずっと思っていたんだけれど、砂金って山金が風化して川に流れ出たものだと考えられている。
きっと誰もがそう考えていると思うし、そう考えるのが自然だ。
しかし、もしそうなら同じ純度じゃなきゃおかしくないか?
砂金には「山金の風化」ではない違う原因があると私は考えている。
→1回でこんなに採れることはありません。
※画像はウィキペディアより
2000年には1グラム当たり1000円を切ることもあった相場が、現在はほぼ4000円で推移している。
これは高すぎ、異常。
これじゃ金貯金もできないし、指輪を買っても、そのほとんどが台の値段ってことになってしまう。
早く景気が上向いて元の相場に戻ることを切に願います。