ウチの近所に新しくできた大きな住宅街があるんですけど、そこすごいんですよ。
何がすごいって、電飾。
全住民が競い合っているみたいに、どの路地を覗いてもハデで豪華。
赤、青、緑、ピンク。まるで宝石をちりばめたよう。
なんだかすごく暖かくて、寒さも忘れてしまう。
ホント冬はこの電飾が楽しみ。
もし、この電飾が全部宝石だったらすごいよねー。
しかも、カラーダイヤモンドだったりなんかすると、それはもう夢のよう。
そんなわけで、この時季になるとカミさんが「ダイヤモンドを見に行こう」と、
宝石店に行きたがるんですよ。
でも、色とりどりのダイヤモンドなんて銀座あたりに行かないと見られない。
いや、銀座にもないかもしれない。
もしあっても、そんなお店は敷居が高くて入ることもできない。
きっと、お店の前で不審者のようにウロウロして帰ってくるだけなんだろうな。
先日も約25カラットのピンクダイヤが38億円で落札なんてニュースをやっていたけど、
ものすごくちっちゃくてもいいからピンクとかブルーとかひとつくらい欲しいなあ。
クリスマスだしなあ、と思う今日この頃です。
ちなみに、宝石の質量を表す単位 “カラット”
1カラット=約0.2グラムに相当するので、今回登場する宝石の大きさを想像してみてね!
さて、ダイヤモンド(金剛石:こんごうせき)。
ダイヤモンドといえば普通、無色のダイヤモンドを思い浮かべるよね。
炭素だけでできているダイヤモンドは純粋であればまったく色は着かない。
でも、どの石もそうだけど、そうそう純粋なダイヤモンドはない。
ほんのわずか別の元素が入り込むことによって様々な色に発色する。
それらをファンシーカラーダイヤモンドと呼んでいる。
そして、いったんファンシーと判断されると、それはまったく別のカテゴリーに
分類され独自の道を歩み始めてしまう。
しかし、そのなかで宝石として加工されるのは2~3パーセントくらいしかない。
その2~3パーセントの中に入るものとなると、もうそんじょそこらの宝石店で
お目にかかることはめったにない。
そのカラーダイヤモンド。意外なことにほぼすべての色がそろっている。
ピンク以外にもレッド、ブルー、グリーン。電飾もなんのその、ブラックだってある。
有名どころをいくつか紹介してみるね。
・ブルー・ダイヤモンド
ブルーダイヤといえば、呪いのダイヤとして有名なホープダイヤがあるけれど、
私はマリー・アントワネット・ブルーダイヤモンドが一番好きだな。
ホープの約45カラットに比べ約5カラットと小さいんだけれど、
それはマリーアントワネットが自分で身につけるために、わざわざその大きさにリカットしたから。
オーストリアのハプスブルグ家から嫁入り道具のひとつとして持ってきて、
1793年に命が尽きる直前まで持っていた。
その後めぐり巡って、1983年にオークションに出されたことがあるんだけど、
なんと値段が付かなくて売れなかったそうだ。
たぶんものすごく高い値段を設定していたんじゃないかな。
なんてったってすごい歴史を持っているダイヤモンドだからね。
変ないい方だけど38億円なら売れていたと思う。
ちなみにホープダイヤは現在アメリカのスミソニアン博物館にてしっかりと封印されています。
・グリーン・ダイヤモンド
もうこれはドレスデン・グリーン以外にない。
ていうか、グリーンのダイヤモンドは他の色に比べて極めて少なく、
このドレスデン以外にないのではないかというくらいに少ない。
このドレスデン・グリーンは謎の多い石で1742年、ポーランドの王
フリードリヒ・アウグストⅡ世がオランダの商人から買ったという記録が最も古い。
何が謎かというと、この40カラット以上もあるようなダイヤモンドを、
単なる商人が何の経緯もなく持っているはずがないというところなのだ。
商人が持っているということは、王室にあったものが戦争で略奪され流出したとか、
没落した貴族が売ったとかが当時としては普通の経緯だ。
また、そこにたどり着くまでも、どこで産出し誰がどの経路で
どの王室に納めたかもすべて記録されている。
ドレスデン・グリーンにはこれらの記録がまったくない。
突然、中世のヨーロッパに出現しているのだ。
このダイヤモンドの歴史を研究している歴史家は現在も多い。
・ピンク・ダイヤモンド
ファンシーカラーの中でたぶん一番多い色がピンクじゃないかなと思う。
ちっちゃーいピンクダイヤモンドなら無色のダイヤの脇石としてよく見かけるし、
なんといってもピンクはかわいいからね。
ピンクだけは日本にたくさん入ってきている。
有名どころのピンクダイヤモンドの中で個人的に一番好きなのは
「光の眼」という意味の名を持つ「ヌル・ウル・アイン」。
1966年にイラン王室宝飾品の調査で発見された19カラットのピンクダイヤモンド。
広く世に知られたのはこの時が初めてだけれど、やはり記録はしっかり残っていた。
もともとはグレート・テーブルと呼ばれる、テーブルの天板のような形にカットされた
巨大なダイヤモンドが、1834年頃ある事故により割れてしまい、その破片のひとつから作られたもの。
グレート・テーブルの最も古い記述は1642年にインドで売られていたということ。
それが、めぐり巡ってイラン王室に入った。
割れた破片から作られたのは、もちろんヌル・ウル・アインだけじゃない。
「光の海」という意味の名を持つ「ダリヤ・イ・ヌル」というピンクダイヤもある。
こちらは186カラットもあって19カラットのヌル・ウル・アインとは比較にならないくらい
大きいんだけど、それでも私はヌル・ウル・アインの方が好きだな。
現在はカラーダイヤモンドをちりばめたティアラの中心石としてセットされていて、
テヘランの国立銀行に保存されている。
・イエロー・ダイヤモンド
さて、イエローダイヤです。
かなり強引なんだけど、黄色はダイヤモンドに基本的に着いている
色だと思ったらいい。
どのダイヤモンドもよくよく見れば基本は黄色。最も多い色が黄色となる。
よって黄色は希少価値が無く価格が下がってしまう。
だから少しでも黄色味の少ないもの、無色なものが希少であるとされる。
カラーグレードはまったくの無色をDとし、徐々に黄色味が強くなるごとに
EFG~Zの23段階に分けている。
しかし、そんな黄色でもファンシーに入る黄色がある。
Zよりも濃くなった黄色は、しっかりファンシー・イエロー・ダイヤモンドなのだ。
そのファンシー・イエロー・ダイヤモンドのなかに唯一名前のついたものがある。
その名は「ティファニー」。
あの有名なティファニー社が所有する、約128カラットのカナリー・イエローをしたダイヤモンド。
このダイヤモンドの発見は1877年頃といわれ、この頃はもう王宮だとか
王朝だとかという時代は過ぎていて、他のダイヤモンドのような深い歴史はない。
ただ、ダイヤモンドを指してティファニーと言った場合、間違いなく
このイエロー・ダイヤモンドを示すことになる。
もちろん今でもこのダイヤモンドがティファニー社の象徴であることは間違いない。
・レッド・ダイヤモンド
1990年代にブラジルで発見された、ものすごく歴史の浅い新しいダイヤモンド。
その昔はルビーとスピネルの区別がつかなかったくらいだから、
その当時に発見されていたら絶対にルビーってことになっていたような気がするよ。
硬度が違うからわかるかもとは思うけど、昔の石の分類は色だからね。
色が同じなら同じ石ってことになってると思う。
このレッド・ダイヤモンド、今のところ手に入れることが可能なダイヤモンドの中では
最も希少じゃないかと思う。
少しずつ出回ってきているから、もしかしたら今後、鉱脈が発見されて一気に
値段暴落ということも考えられなくはない。かなり強引だけど。
ホントに見つかったばかりの、まだ何もわかっていないダイヤモンドなのです。
・ブラック・ダイヤモンドとブラウン・ダイヤモンド
たぶん、ブラックとブラウンはファンシーの中に入っていない。
両方とも本来は工業用にまわされていたダイヤモンドだから。
とりあえず最近の流行ということで紹介したんだけれど、
とくにブラックダイヤモンドってインクルージョン(内包物)であるカーボンの塊だよね。
もちろんカーボンって炭素のことだし、ダイヤモンドは炭素だから間違っちゃいないけど、
それって石炭ってことになるんじゃないかな。
でも硬度は間違いなくダイヤモンドの10。
宝石店で見たけど、その黒さっぷりは見事。
お葬式とかにつけていけるダイヤモンドとしてはアリかもなんて思ったりしています。
だけど、ブリリアントカットにするのはどうかな。
ブリリアントカットは入ってきた光をすべて入ってきた方向に返すためのカット。
ブラックはそもそも光が入ってこないんだから、意味ないと思うんだけどな。
長方形の形をしたステップカットの方がより適切な気がする。
というわけで、ここまでいくつか紹介してみたけれど、ファンシーカラーのダイヤモンドは高いね。
カラットが同じで、内包物の量を表すクラリティグレードも同じな
無色のダイヤモンドと比べると100倍以上の値段が付いているよ。
とくにレッドがすごいね。ピンクなんてかわいいものだよ。
おっとっと、こんなこと書いていると、
カミさんが「じゃあ、クリスマスプレゼントはピンクダイヤね」って言い出しそうで恐怖です。
鉱物豆知識 ☆*゚¨゚゚・*:..。o○☆*゚¨゚゚・*:..。o○☆*゚¨゚゚・*:..。o○☆
ダイヤモンドより硬い物質はこの世に存在しないといわれているけど、
実はすでに存在しているのだ。
隕石の落下跡から発見されたロンズデーライトがそれ。
純粋なものはダイヤモンドより約1.5倍硬い。
さらに天然ではないけれど3倍硬いものも作られていて、
それはハイパーダイヤモンドと呼ばれている。
これらはナノテクノロジーとかの最先端科学分野で研究されていて、
まったく一般的ではないけれど石好きなら知っておいて損はないと思う。
何年後か何十年後かにそれらの鉱物によって私たちの生活がどう変わっているのか。
それを想像しながら、メリー・クリスマス、アンドまた来年!!