見分けのつかない石っていっぱいあるよね。
原石だったら一目瞭然の石も、ビーズとか丸玉になるとものすごく似ていて違いがわからない。
2つの石を手にとって「どっち?」って悩んだことのある人ってけっこう多いんじゃないかな。
例えばトパーズと水晶。どちらも純粋なものは無色透明。
※画像はウィキペディアより
写真のとおり形が初めから違う。結晶の断面も水晶は六角形だけどトパーズは平行四辺形。
結晶面にある波打ったような条線(じょうせん)も水晶は横だけどトパーズは縦。
これだけ知っていればたとえ割れていても見間違えることはない。
でも、ビーズとかの丸玉になっていたらもうダメ。結晶面もなければ条線もない。
見分けがつく方がどうかしているくらい。
幸いまだビーズになっている無色のトパーズを見たことがないから、
これまで悩んだことがないけれど、悩んでしまうような石は他にもたくさんあるのだ。
○ ピーモンタイトとロードナイト
これは……、同じにしか見えません。
発色の原因も同じマンガンだし。
もしこの2つを同時にこぼしたりしたら……。
元に戻すのは不可能だな。
ちなみに原石はこれ。
左がピーモンタイト、右がロードナイト。(※画像はウィキペディアより)
ピーモンタイトは日本名で紅廉石(こうれんせき)というとおり
「紅い簾(すだれ)のような結晶をした石」なんです。
○ ラピスラズリとソーダライト
こぼしたら元に戻せないということで思いだしたのだけれど、
ある手芸屋さんでソーダライトのビーズの中にラピスが混じっているのを見たことがあるぞ。
これ絶対こぼしたときに入れ間違えたんだと思う。
このときはソーダライトの中にラピスが入っていたからまだよかったけど、逆だったら問題だったと思う。
ラピスはグレードが下がり、白い部分が多くなるとソーダライトに似てくるから注意が必要。
上がラピス、下がソーダライト。(※画像はウィキペディアより)
○ オニキスとブラックトルマリン
本来オニキスって白と黒の縞メノウのことなんだけど、最近は白い部分だけを
削り取ったホワイトオニキスと黒い部分のブラックオニキスがあるよね。
このブラックオニキスとブラックトルマリン(ショール:鉄電気石:てつでんきいし)が
似ているんだ。どっちも真っ黒けだし。
見分け方としてはトルマリンの方に特徴がある。
トルマリンは服とかでコシコシこするだけで静電気を帯びるから、
それを埃とかに近づけてみればいいんだ。
そのまま埃がくっつけばトルマリン。オニキスならばくっつかない。
ただし、その静電気はとっても弱いから、埃がつくといってもほんのちょっとだけね。
上がオニキスで下がブラックトルマリン。(※画像はウィキペディアより)
○ シトリンと琥珀(とプラスチック)
これも似ているっていわれたことがある。
薄い黄色からオレンジのような黄色まであるから、確かに色は似ている。
でも、このふたつを間違える人はいないでしょう。
だって、重さが違いすぎるんだもの。
海水になら浮くといわれているくらい琥珀は軽いんだから。
問題はプラスチックで作られた琥珀の模造品。これは難しい。
違いとしてよくいわれているのは、琥珀は燃やすといい匂いがするってこと。
プラスチックはヤなニオイしかしないから簡単にわかるっていわれているけど、高いお金を出して買った琥珀を燃やすなんてことはできないよね。
ちなみに、本当にいい匂いがするか手持ちの琥珀を燃やしてみたところ、ぜんぜんダメでした。
いい匂いどころか気持ち悪くなりました。
火はすぐについたんだけど、真っ黒いすすもいっぱい出て……。
それから海水に浮くかどうかの実験もしてみました。
海水の塩分濃度は約3.5パーセント。それと同じ食塩水を作ってみたけど、残念ながらこれもダメ。
ぜんぜん浮きませんでした。
少しずつ濃くしていって10パーセントくらいでようやく浮きました。
琥珀についていろいろいわれていることは都市伝説です!
これは信頼できるお店で買うのが一番ってことかな。
琥珀
シトリン
(※画像はウィキペディアより)
○ アマゾナイトとブルークオーツァイト
これはわかりにくい。
なんてったって、ブルークオーツァイトはアマゾナイトって名前で売られていたりするからね。
アマゾナイトは青くなった長石(ちょうせき:フェルドスパー)です。
正確にいうと微斜長石(びしゃちょうせき:マイクロクリン)。
クオーツァイトはその名前からもわかるように石英(せきえい:クオーツ)なのです。
ブルークオーツァイトは青くなった石英。
このふたつはぜんぜん別物。
ん? 石英ならクオーツでいいんじゃないの? って思うんだけど、でき方がちょっと違う。
例えば、海岸の砂とか細かい石英の砂が地下深くでマグマと接触し、
いったん溶け、再び固まったものがクオーツァイト。
だから単純にクオーツとは呼ばないのです。
日本名は珪岩(けいがん)。
そしてそのときに雲母などが入り込んで色がついたりして、青くなったものがブルークオーツァイト。
ここちょっと注目。
このでき方はアベンチュリンのでき方と同じなのです。
アベンチュリンは緑が基本だけど、他にも赤や青などいくつかの色がある。
だからレッドアベンチュリンやブルーアベンチュリンなどもある。
そして最大の特徴はキラキラしていること。
それをアベンチュレッセンスといって、それがアベンチュリンの証。
ブルークオーツァイトは石英ですから、ちょっとやそっとじゃ割れません。
アマゾナイトは長石ですから、決まった方向に割れやすい劈開(へきかい)という
性質によって比較的簡単に割れます。
割れたらアマゾナイトです。
って、こんな確認方法使えない……。
(
上がアマゾナイト、下がクオーツァイト(※画像はウィキペディアより)
○ 水晶とガラス玉
トパーズのビーズはなくてもガラスのビーズはあるから、やはり見分け方は知っておきたいところ。
といっても、やはり見た目はなかなかわからない。
そこで偏光フィルターを使ってみるのもいいかも。
偏光フィルター越しに水晶を見ると曲線のスジがたくさん見える。ガラスならば何も見えない。
この偏光フィルター、難しそうだけど、博物館とかに行くと小さな水晶玉とセットで500円くらいで売っている。
それともし5センチ以上ある水晶玉を持っていたらぜひ複屈折を確認してもらいたいな。
複屈折というと方解石が一番強烈で、結晶の向こう側においた1本の線が二重に見えるという現象。
水晶はそこまで強くないけど1本の線が左右ににじんだように太く見える。
もちろんガラスにこの性質はない。
この性質はどの方向からでも見られるわけじゃなく、
結晶の縦方向から見たときにだけ見られる性質。
丸くなっている水晶玉が結晶だったときのその形まで想像できてきっと楽しいと思うよ。
○ パイライトとマーカサイト
これは色が違うよね。
パイライト(黄鉄鉱:おうてっこう)は薄い黄色、マーカサイト(白鉄鉱:はくてっこう)は
白っぽい銀色みたいな色をしている。
そういえばチャルコパイライト(黄銅鉱:おうどうこう)のビーズって見たことないね。
本物の金より金色をしていて、とてもハデなんだけど、なんでかな。
上からからパイライト、マーカサイト、チャルコパイライト (※画像はウィキペディアより)
さて、ここまでいくつか見分けにくい石を紹介してみたけど、
これらをわざと混同して売っているところはないよ。
もしあったら本当にこぼしたときに入れ間違えちゃったくらいのこと。
もしそういうのを見つけたら、あとから来るお客さんのためにも店員さんに教えてあげよう。