トップページ > 地球のかけら

地球のかけら

【第64回】デザートローズ(砂漠の薔薇)

2010年5月28日



dr1.jpg

カミさんコレクションの砂漠のバラ(デザートローズ)です。
両手サイズの大きさがちょっと自慢だよ。

dr2.jpg

セレナイト(石膏:せっこう)の結晶で、なぜか砂漠でしかできない。
さらにそのでき方はまだよくわかっていない。

「結晶が成長するときに砂を取り込んでいった」としかいえないんだけれど、
表面にしか砂の付いてないものもある。
このデザートローズもそう。割れている部分を拡大してみると中は透明。

dr6.jpg

部分的に砂の付いていないところもあって、そこはキレイに光が通る。

dr8.jpg
dr7.jpg

産地はチュニジアかアルジェリアかモロッコ。
買ったときサハラ砂漠ってしか書いてなかったからなんだけど、調べてみると
「サハラ砂漠北部」で掘り出されるってなってた。
北部っていうとチュニジアかアルジェリアかモロッコ。だから産地はそのあたりかな。


鉱物的には石膏(せっこう:ジプサム)の結晶であるデザートローズ。
ちょっと細かくいうと、バライト(重晶石:じゅうしょうせき)でできたデザートローズもあるんだけど、
今回は一般的な石膏でできたデザートローズを取りあげます。 

bar_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより

バライトのデザートローズ。色が違うね。

正確にいうと二水石膏(にすいせっこう:ジプサム)の結晶。「二水」というのは結晶の中に
わずかだけれど水の分子が含有されているということ。

何年か前、デザートローズの採掘をテレビでやっていたんだけど、オアシスの近くで掘り出していた。
だから、てっきりオアシスとかたっぷりの水のあるところじゃないとダメなんだって思ってた。
でも、けっこう砂漠のあちこちにあるみたいなんだよね。

砂漠のど真ん中まで行っていたら、掘り出し中に人間が干からびちゃうから
オアシスの近くでしか作業できないのかもしれない。

ひとついえることはこの結晶ができた頃はサハラ砂漠にも水があったってことだよね。

それで、砂の中からこんなモコモコしたものを掘り出すなんて、まるでイモ掘りみたいだって
想像していたんだけど、実際にはぜんぜん違った。

小さいものがコロコロたくさん出てくるんだったらイモ掘りみたいだけど、人間の身長よりデカイのも
ゴロンゴロンあって、もうイモなんてレベルじゃない。
ものすごく高い水圧の水で砂をはじき飛ばし、中に隠れているデザートローズを探し出す。
強いていうなら、「砂漠でレンコン掘り」って感じに見えた。
でも、ホントに砂漠の中。砂の中にデザートローズは埋まっていたんだ。
 
そして思った。分かり切っていることではあるんだけれど、この砂は「サハラ砂漠の砂」なんだよ。
一粒一粒がサハラ砂漠の一部。この色がサハラ砂漠の色。デザートローズはサハラ砂漠そのものなんだ。

 

さて、例えばどんなに石に興味のない人でも石膏を知らない人はいないと思う。
骨折したら石膏(ギプス)で固められるし、美術室にはデッサン用の石膏像がある。
それに建築物の天井や壁には耐火用の石膏ボードが使われている。
これらの石膏とデザートローズやセレナイトがおなじ石膏だなんてちょっと想像が付かない。
私も骨折した経験があるから石膏というとギプスのイメージしかなかった。
 

それに石膏はギプスなのかジプサムなのかセレナイトなのか、
はたまた別の何かなのか名前もよくわからない。

前述でもジプサムといったりセレナイトといったり、確実に混乱する書き方をしている。
ちょっとここで整理してみたいと思う。

・二水石膏(にすいせっこう:ジプサム)
鉱物的にジプサムというとこの二水石膏を示している。
この中で透明な結晶が透石膏(とうせっこう:セレナイト)。
繊維が束になっているようなのもを繊維石膏(せんいせっこう:サティンスパー)。
結晶せず単なる塊になったものを雪花石膏(せっかせっこう:アラバスター)と読んでいる。
※ 石膏ボード、石膏像はこれに含まれる。

cel1_wiki.jpg
セレナイト ※画像はウィキペディアより

sat1_wiki.jpg
サティンスパー  ※画像はウィキペディアより

ala1_wiki.jpg
アラバスター ※画像はウィキペディアより


・半水石膏(はんすいせっこう:バサナイト)
二水石膏に比べて含んでいる水が4分の1。
二水石膏を160℃以上で加熱すると水分が蒸発して半水石膏になる。
加熱するとできることから焼石膏(しょうせっこう)とも呼ばれたりする。
粉末にして水を加えると二水石膏に戻って固まる性質がある。
※ というわけで、骨折したときのギプスはこの半水石膏。

gips_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより


・無水石膏(むすいせっこう:アンハイドライト)
水をまったく含んでいない石膏。硬石膏(こうせっこう)ともいう。
どんなに粉末にして水を加えても二水石膏や半水石膏にはならない。

anh1_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより
 

整理したつもりが反対に難しくなったような気がするな。
でも、重要なのは二水石膏だけ。見た目の違いで3つの名前がついているって
ことを知ってくれたらそれでいいんだ。
でも、全部まとめてジプサムといっているときもあるし、日本語では石膏でひとくくりだから、
そこは注意が必要だよ。
で、ギプスはジプサムのオランダ語でした。

 
それにしてもセレナイトというと、ひとつ思い出があるんですよ。
何年か前のことだけど、カミさんがパスタを茹でるときにモンゴル産岩塩を使ったんですね。
セレナイトって、海水が蒸発して岩塩ができるときに岩塩より先に結晶して沈殿するらしいんですよ。
そしてその後に岩塩ができるから、セレナイトと岩塩の混じっている部分が当然あるわけ。
どうやらその部分に大当たりしちゃったらしくて、それに気づかないで作ったパスタを食べて
二人とも口の中がジャリジャリ。
まさかセレナイトだなんて思ってないから、割れたガラスが混入したと思い大騒ぎ。
警察に通報するかどうかまで話し合ってしまったよ。

とりあえず鍋とかを片づけていたら出てきましたよ。
パスタを茹でた鍋の底から、セレナイト。
一円玉の半分くらいの大きさで可愛いのがいくつも。しかも双晶まで。

kc.jpg

mrs.jpg
 


この出来事でわかったこと。

・セレナイトは水に強い。
若干は溶けるけれど、それは何年もかけてであって、ジャブジャブしてもぜんぜん平気。

・熱にも強い。
そりゃ火であぶるのはダメだけど、煮るくらいならぜんぜん平気。

・毒性はない。
あったら死んでる。漢方とか化粧品とか食品にも使われているそうですよ。

・かなりもろい。
噛んだら粉々になる。実際、硬度は2しかない。もろい上にやわい。


そのセレナイトですか?
ええ、もちろん岩塩とともにカミさんのコレクションボックスに入ってますよ。


---------------------------

プレゼント企画!(締め切りました)

「石詰め合わせ福袋」を10名様にプレゼント!!

自分たちで採集したもの買ったもの。
日本産から外国産。
小さなものから大きなものまで。

郵便局のエクスパック500にいろいろ詰めてお送りします。

だいたい中身はこんな感じ。

fuku.jpg

水晶、ガーネット、フローライト、サファイア、ヒスイ、トパーズ、岩塩、アクアマリン、ムーンストーン、トルマリン、などなど。


これら全部が入るわけではありません。

この中から5種類か6種類がランダムに入ります。
福袋だからね。正確には福箱か?!

応募は締め切りました。 たくさんのご応募をありがとうございました!
当選者の方には後日メールを送りますので楽しみにお待ちくださいませ。

------------------------
追伸
横浜に引っ越しました。
また引っ越し? と思われると思いますが、これまでの海老名は仮住まい。この引っ越しこそが本当の引っ越しです。
近くには海軍道路と呼ばれる3キロくらいの直線道があって、アメリカ海軍の通信施設があったことからそう名付けられたそうです。
その施設近辺は広大な空き地で、とくに何もないんですけど、「DANGER この先に立ち入ると日本の法律で罰せられます」なんて看板があったりしてちょっとビビってます。

 

 

 

 

本文の終わりです
ページの終わりです
先頭にもどります
オンラインショップはこちら