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地球のかけら

【第61回】オブシディアン

2010年2月24日

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※画像はウィキペディアより
 

私だけかもしれないんだけど、オブシディアンと黒耀石(こくようせき)って、その名前から受ける印象って、なんだかずいぶん違う気がしない?

いやいや、オブシディアンも黒耀石もまったく同じ石の英名と日本名なだけなんですよ。

でも、オブシディアンっていうと、ビーズになっていたり、ペンダントトップに使われていたり、手でにぎにぎできるように丸くカットされていたりする癒し系の石って感じ。

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※画像はウィキペディアより
 

ところが、黒耀石っていうと旧石器時代の鏃(やじり)とかナイフに使われていた「道具」っていう印象。

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※画像はウィキペディアより

「この鏃は黒耀石で作られています」とはいうけど、「オブシディアンで作られています」とはいわないからそんな印象になったのかな。

そのオブシディアン、主成分が二酸化珪素(にさんかけいそ)であることから「天然ガラス」って呼ばれている。ガラスっていうことは窓とかのガラスと同じもの。
二酸化珪素を人工的に溶かして固めた人工ガラスに対して「自然に溶けて固まった」ものが天然ガラス。

自然に溶けるっていったいどうやって溶けるのかというと、これはもう火山の爆発しかない。
珪素を多く含むマグマが空気に触れたり水に触れたりして急激(もう瞬時)に冷えると天然ガラスができる。
だから火山国の日本はとくに多い。日本だけで70か所以上の産地がある。
もちろん美しいものとなると場所は限られるけれど、北海道、長野県、島根県、大分県、長崎県あたりが有名。
それと要因は違うけど、隕石の衝突で珪素が溶かされてできたモルダバイトやリビアングラス、テクタイトもでき方としては同じ天然ガラス。

それから、オブシディアンの中には固まる際に部分的に脱ガラス作用とかいうものを起こして斑に白くなるものがある。それがスノーフレークオブシディアン。
また、レインボーオブシディアンは、インクルージョン(内包物)として針状の角閃石(かくせんせき:アンフィボール)が平行にたくさん入ることにより七色に発色する。


さて、ここで意外な事実を。
実はオブシディアンは鉱物ではないのです。

? と、思ったよね。
だって、どう見ても鉱物だもん。
でも、どの本を見ても鉱物ではないと書いてある。

鉱物は「結晶であること」が絶対的な定義なんだけど、オブシディアンは非晶質で結晶ではない。
石英や玉随(ぎょくずい:カルセドニー)、瑪瑙(めのう:アゲート)、それからロードクロサイトの縞々のヤツなんかは非晶質っぽく見えるんだけど、それらは非常に細かい結晶がギュギュッと固まったちゃんとした鉱物。
それに対しオブシディアンはその分子がすでにバラバラでまったく整列していない。整列していないということは結晶になっていないということ。
強いていうなら、石ではなく岩石に分類されるそうだ。
だから黒耀石も本当は黒耀岩が正しいらしい。
んー、岩石って鉱物が固まったものをいうんじゃなかったっけ? なんて思ったりするけど、ここから先は学者さんレベルじゃないとちゃんと答えられなさそうだ。
しかも、同じ非晶質のものとしてオパールがあるんだけど、オパールは「例外」として鉱物と呼んでいいんだってさ。

でも、このままわからないで終わらせるわけにはいかない。そこで、自分なりに調べてみた。
その結果、これまた意外な結論にたどり着いた。
それはこの、分子がバラバラになっている状態というのは、実はこれ液体なんです。
そう、オブシディアンは液体だったんです。

液体?! 液体って、どういうことよ!

って、当然思いますわな。 
 
んー、たとえば、こう考えてみて。
「流れる水の時間を止め、それを切り取ったような」そんな感じ。
それはあくまでも水で、けして氷じゃない。
それがオブシディアン。
 
どうかな、ちょっと強引すぎるかな?


最後に。オブシディアンを持っている人、もし割っちゃったときは本当に気をつけてね。
古代のナイフとして使われていたように、その割れ口は刃物と同じ。

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※画像はウィキペディアより

割れ口が貝殻状になることがオブシディアンの特徴のひとつだけど、その切れ味は切れなくなった包丁のそれ。
指を切ったら、いつまでも痛いぞー(経験者談)。
 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

【第60回】レインボー水晶

2010年2月 1日

2009年7月頃に突然登場したレインボー水晶。みなさんはもう手にとってその七色の輝きを確認したかな?

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一見カクタスクオーツのように見えるのだけれど、ひとつひとつの結晶に光を当ててみると結晶面が七色に光る。

パワーストーンでは結晶の中に入ったクラックに光が干渉して見えるものをレインボーっていうけど、これは結晶の表面が光ってるんだからそれとは違う。

このレインボー水晶、水晶といわれているにもかかわらず、最初、水晶だと思わなかったんだよね。もちろん形は水晶なんだけれど質感が水晶っぽくない。
なにかちょっとロウみたいな光沢で滑石(かっせき:タルク)? って思うような質感。
光り方もムーンストーンかアポフィライト(魚眼石:ぎょがんせき)あたりに見えたし。
でもね、やっぱり水晶なんだよね。
まだ見たことのない人はぜひ手に取ってみてください。きっとすぐにこの不思議感を共有できるはず。

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で、この不思議感の原因は何か。
たぶんこの水晶、表面に何かがコーティングされているんじゃないかと思うんだ。
薄い透明な何かがコーティングされ、それが光の干渉を起こしている。
そうでなければ質感が変わるなんてことあり得ない。
 
水晶の結晶面に何かがコーティングされるということは比較的よくあって、ほとんどの場合は酸化鉄。鉄錆のことなんだけど、そのせいで真っ茶色になっていることもある。

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アクアオーラってそれを人工的に再現したもの。
水晶などに人工的に金属鉱物を蒸着コーティングしたもの。
あくまでも人工物だけど、信じられないほど美しい青や赤の水晶クラスターが作られている。

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※画像はウィキペディアより

このアクアオーラよりも天然のものはさらに薄くコーティングされている場合があって、それらは結晶面が七色に光っている。
レインボー水晶はこの光り方にそっくりなんだよ。

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しかし、金属の場合はとりあえず赤とか青とかがベースにあって、その上で七色に光っている。
それに対しレインボー水晶はベースが無色。金属でない何か別の鉱物がコーティングされているような感じだ。
きっと特殊な天然アクアオーラで決まりかな。


ところが、よくよく結晶を眺めてみると、表面だけでなく結晶の内側でも七色に光っているじゃあーりませんか。
内側にコーティングするのはいくらなんでもムリ。天然アクアオーラ説は早くも崩壊か?

そこで私は考えた。
これはもしかしてファントムなんじゃないだろうか。
ファントムとは山入り水晶ともいって、成長が止まった水晶に他の鉱物などが降り積もり、その後それを覆うように再び成長した水晶のこと。
水晶の内側に水晶がある不思議な水晶。ときには何段も重なっているのものある。

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結晶面に何かがコーティングされその後再び成長するということを少なくとも2回以上繰り返した水晶。それがレインボー水晶なんじゃなかろうか。
内側と外側の輝きが重なってムーンストーンのように見えたのかもしれない。

天然アクアオーラのファントム。

これがレインボー水晶の正体だ!

うーん、まだ何にもわかっていない水晶だから大胆にも仮説を考えてみたよ。


さて、このレインボー水晶、2009年にインドで発見された。
2009年なんて書いているけど、それ去年だよね。1年も経っていないんだよね。
名前だってちゃんと決まっていない。この記事では便宜上レインボー水晶って書いているけれど、他にも虹色水晶とか遊色水晶とか呼んでいるところもある。
ホントに見つかりたてのホヤホヤ。

「だから」なのかかわからないけれど、かなり値段が張る。
クラスターならば小さくても最低1万円から。ちょっと大きめで透明なものになると10万円を軽く超えている。

とんでもない金額なのだけど、実のところ私はこれが底値なのではないかと密かに思っていたりして。
普通、出始めは高くて後にどんどん値がこなれていくのが一般的。でも、希にそうならなかった石もあるんですよ。
たとえばパライバトルマリン。
1989年、それまでになかったネオンブルーのトルマリンがブラジルのパライバ州で発見された。
初めは良質の石が大量に供給されていたのにわずか1年で枯渇。石の品質は落ち価格は10倍になった。

レインボー水晶はどうかな? 昨年発見されたばかり、現在じゃんじゃん採掘している。しかも産地は世界中でインドのアジャンタ鉱山1ヶ所のみ。
パライバトルマリンほど極端ではないにしても、1年後には枯渇、閉山してしまっている可能性が大ありなのだ。
ちょっとでも気になっている人は今のうちに手に入れておいた方がいいかも。

(注意)あくまで私の個人的な予想ですので、外れてもクレームはナシね。


レインボー水晶については今現在大急ぎで研究がなされているそうだ。
コーティングされているものは何なのか。内側コーティングの秘密は? そもそも本当にコーティングなのか。

2010年中には分析結果が公開される予定。
それまで、いろいろ考えてみるのもきっと楽しいよ。

 

 

 ※レインボークォーツはこちらからもご覧いただけます。


 

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