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地球のかけら

【第53回】岩絵の具

2009年7月 1日

サッカーワールドカップ南アフリカ大会に日本代表が出場を決めましたねー。
気持ちのいい7月をむかえることができました。みなさんはどうですか? 
もう来年が待ち遠しくてしかたがありません。

ところで、自分の使っているパソコンの画面の色がおかしいことに気づいたのです。
自分のホームページにいろいろ写真をアップしてたんですよ。
で、他のパソコンではどういうふうに見えているのかな? って思って、初めて他人んちのパソコンで見てみたんです。

そしたらなんと色が変。黒く映っちゃってる。

さらに別のパソコンで見ても同じ。なんだか変な色。

「あれ? みんなのパソコン、色が変!」


とは、さすがに思わなかったですよ。あきらかに変なのは自分のパソコン。
今はもう調整したんでたぶん大丈夫ですけど、ホント、3年以上使っていて今さらですよ。

そこで、前々回(ラズライトとラズライトとアズライトの回)でのことなんですけど、憶えてますか?
その昔、鉱物を砕いて岩絵の具にし絵を描いていた。青にもいろいろ種類があって、なかでも有名なのがこの3つの鉱物だったという話。

瑠璃(るり)と群青(ぐんじょう)と紺青(こんじょう)の色を「ちょっとピントこないね」なんて書いていたのを。
そうなんですよ。ピンとこなかったのはもしかして私だけだった可能性が高いのです。

 瑠璃(青金石:ラピスラズリ)
53Ruri.jpg
※画像はウィキペディアより


 群青(藍銅鉱:アズライト)
53Gunjo.jpg
※画像はウィキペディアより


 紺青(天藍石:ラズライト)
53Konjo.jpg
 ※画像はウィキペディアより
 

(正しい色合いになったであろうパソコンの画面で)見直してみたところ、けっこうしっくりきているじゃないですか。やはり私のパソコンがおかしかったのです。みなさま大変失礼いたしました。

というわけで今回は色が直った記念。
青以外の色はどんな鉱物が顔料として使われているのか! を紹介してみたいと思います。


・シナバー(辰砂:しんしゃ)
赤の顔料としてもっともメジャーなのではなかろうか。
この色が「朱(しゅ)」色。
  
53Shu.jpg
朱色   ※画像はウィキペディアより

 

53cinnabar1.jpg53cinnabar2.jpg
シナバー    ※画像はウィキペディアより
 



化学名は赤色硫化水銀……。せ、赤色りゅうか……すいぎん?
だめだ。化学名を書くとなんだかいろいろ台無しだ。

 
・ヘマタイト(赤鉄鉱:せきてっこう)
ぜんぜん赤くないんだけど、ザラザラしたタイルなんかに擦りつけてみると一目瞭然。
その擦りつけた跡のことを条痕(じょうこん)っていって、それがその鉱物本来の色。ヘマタイトは赤なんだ。
そしてこの色が「弁柄(べんがら)」。なんか聞いたことない?

53Bengara.jpg
弁柄色   ※画像はウィキペディアより


 

53Hema.jpg
ヘマタイト   ※画像はウィキペディアより
 



続いて緑。
この色の鉱物は調べたんだけど、ひとつしか見つからなかった。
・マラカイト(孔雀石:くじゃくいし)
色の名前は「緑青(ろくしょう)」。
これも聞いたことあるでしょ。

53Rokusho.jpg
緑青色   ※画像はウィキペディアより



53malachite.jpg
マラカイト  ※画像はウィキペディアより
 



・カドミウムイエロー。
硫カドミウム鉱
この顔料は色が綺麗な上に丈夫だから、多くの画家に愛用されていたんだけれども、カドミウムが有毒であることから、日本以外の国では製造が中止されている。
日本製でないカドミウムイエローは本来の色とはちょっと違うそうだ。

53Cdyellow.jpg
カドミウムイエロー  ※画像はウィキペディアより


 

53Cd1.jpg
硫カドミウム鉱  ※画像はウィキペディアより
 



・鉛白(えんぱく)
最も多く使われている白色顔料ではあるのだけれど鉱物としての写真がなかった。まあ、鉛に酢酸をかけて作る、どちらかというと人工物だから、ないのは当然か。
鉛白は古代から使用されていて、日本でも室町時代までは「おしろい」として使われていた。毒性があり江戸時代には貝殻で作った「胡粉(ごふん)」が使われるようになり、明治時代に禁止になった。現代では油彩用顔料としてのみ使われている。

53Enpaku.jpg
鉛白色    ※画像はウィキペディアより


白だからわからないよね。


以上、他にもまだあるんですが、わかりやすいものだけをピックアップしてみました。

さて、今回は顔料について調べてみたんだけど、知らないことだらけでした。顔料って水に溶けない着色原料の総称なんですね。


で、水に溶けるものが染料。染料は衣類を染めたりするときに使う、藍染めとかの原料のことだよね。

この顔料と染料にはそれぞれ長所と短所があって、顔料、とくに鉱物を砕いて作った岩絵の具の方は「紫外線や環境の変化に強い」が「色がパステル調で淡い」。
それに対し染料の方は「紫外線や環境の変化に弱い」けれど「ビビットな色を出せる」。
それぞれが特長を生かした使い方をされていることに今回あらためて感動したのでありました。

ところで染料の藍(あい)なんですけど、藍って日本独特の色でヨーロッパでは過去にHiroshigeって呼ばれていたんです。ヒロシゲって浮世絵の初代広重のこと。


ヨーロッパでジャパンブルーといえばHiroshige。藍なんですよね。現代ではインディゴの方が名前としてはメジャーになっていますけど。


そこで、ちょっと思い出してください。サッカー日本代表のユニホーム。
あれ青でしょ。
何で青なんだろ? って思ったりしてませんでした? 私は思ってました。日本は日の丸カラーじゃないのかって。
実はあの色、青じゃなくて藍なんです。Hiroshigeだったんですよ。
ジャパンブルーっていってるじゃないですか。まさしく日本を表していたんです。

さあ、来年はサッカーワールドカップ南アフリカ大会。
伝統の色をまとって戦う日本代表をみんなで応援しようじゃありませんか!!

 
 

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