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地球のかけら

【第51回】ラズライトとラズライトとアズライト

2009年5月 1日

ラズライトとラズライトとアズライト……。

似た感じの石の名前を並べてみました。
って、最初の2つは同じなんですけど、違う石なんですよね。

普通、鉱物名でラズライトといえば青金石(せいきんせき)のこと。宝石名ラピス・ラズリ(瑠璃:るり)の青の部分。。

51razu_r_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより

この写真はラピス・ラズリの結晶(めずらしいよ)

このラズライトが有名すぎて、もうひとつのラズライトが完全に陰に隠れてしまっている。

もうひとつのラズライト。
それは天藍石(てんらんせき)。

51razu_l_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより

写真はちょっと白い部分が多いけれど、青い部分が天藍石。ラピス・ラズリに勝るとも劣らないキレイな色をしている。
青い部分だけを取りだしてみると見た目もほとんど区別がつかないんじゃないかな。

で、何が違うかっていうと、英語で書いたときラズライトの真ん中の「ラ」が「L」か「R」かというところ。

天藍石はL → lazulite 
ラピス・ラズリがR → lazurite

日本語でこの区別は不可能です。

事実、石を取り扱っている本でもホームページでも2つのラズライトがごっちゃになっていることが多くある。
「ラピス・ラズリの主成分はラズライト(天藍石)です」というふうに。

ラピス・ラズリの主成分は「ラズライト-R(青金石)」。
「ラズライト-L(天藍石)」はまったく別物の石。ついつい混同しちゃうんだろうけど、ラピス・ラズリに「ラズライト-L(天藍石)」は含まれていません。
ぜひぜひ、この機会に2つのラズライトを覚えてもらえたら嬉しいです。
(あー、このあたりは自分で書いててもごちゃごちゃになるよ)


さて、もうひとつのまぎらわしい名前。アズライト。

アズライト(藍銅鉱:らんどうこう)

51azu_wiki.jpg

これまた似たような名前だね。でも、アズライトは先頭がハッキリと「ア」だから大丈夫。
この石も銅を主成分としているところが同じ。藍色の結晶は光が通ってとても幻想的。

ところで、このアズライトの一種として、アズルマラカイトというアズライトとマラカイト(孔雀石:くじゃくいし)がひとつの石の中に存在している石がある。

51azuru_wiki.jpg

どうかな。地球のように見えませんか。
アズライトの青が海でマラカイトの緑が森。まるで地球の一部が切り取られてそこにあるように見える。
私はこの石がけっこう好きなんだよね。


ここまで、まぎらわしい名前の3つの石を紹介してきたんだけど、この3つの石は昔から顔料として多く使われてきた石でもあるんだ。 

顔料というのは「岩絵の具」のことで、昔はキレイな色の石を砕き粉にして使っていた。現代でも画家の多くは「岩絵の具」を使って絵を描いているそうだ。ものすごく高価らしいけどね。

一番有名なのはラピス・ラズリ。前述のとおり日本では瑠璃と呼ばれていた。
今でも「瑠璃色の……」というのは多いよね。

51ruri_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより

アズライト。ラピスに瑠璃という古い日本名があるように、アズライトにもそれがある。
それが、群青(ぐんじょう)。

51gunjyou_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより

そして、天藍石。あまり一般的ではないけれど紺青(こんじょう)という名前がある。

51konjyou_wiki.jpg
※画像はウィキペディアより

これらは化学商品辞典(同文館)に載っていた。

でもさ、実際の石の色と比べると、ちょっとピンと来ない気がしない?
そう思ってさらに調べてみると、なんだか変なことになっていた。

えっと、ラピスは瑠璃で、顔料になるとヨーロッパではウルトラマリンと呼ばれているんだけれど、その色は群青色で瑠璃色とは違うのだそうだ。
じゃあ群青は? と来ると、群青色でもいいらしい。
……。
これ以上は訳がわからなくなったのでパス。


ラズライトとラズライトとアズライト。
こんなときのために、日本名も憶えておくと便利だよ、ってことで。


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