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地球のかけら

【第49回】プレナイト

2009年3月 1日

3月よりこのコラムもリニューアル。月1回の更新になりました。

 

月1回ですから、これまで以上に密度を濃くしていかないといけないな。まだ紹介していない石もたくさんあるし、一度紹介した石はさらに掘り下げていく所存であります。
みなさま、これからも「地球のかけら」をご贔屓のほどよろしくお願い申し上げます。

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画像はウィキペディアより

さて、新しくなった地球のかけら第一弾として、カミさんがプレナイト(葡萄石:ぶどういし)について書けという。

プレナイト……。ぶどういし……。

ぶどう石というと私は数年前に一度だけ見たことがあるだけなんだ実は。
一度だけというと、「なんじゃそりゃ」という人が多いと思うが、それはあくまでも日本国内で採集されたぶどう石を一度だけ見たことがあるということだから。

それはヒスイが打ち上げられる地元富山県の宮崎海岸でのこと。ヒスイと同じように打ち上げられていたぶどう石を、拾った人に見せてもらったのだ。

こぶしほどもあるマスカットグリーンのそれを最初に見たとき、私はまるで上質のヒスイかと思った。
その人もそうだったらしく、大急ぎでフォッサマグナミュージアムに持っていき自慢したところ、学芸員の先生に「ヒスイではなくぶどう石」といわれガッカリ。
そのあんまりなガッカリ具合に「こんなに大きなぶどう石がここで見つかるなんてヒスイよりもめずらしい」と学芸員に怒られたそうだ。 

それで、まあそんなにめずらしい物ならと今でも持っているということだった。

仕方ないんだよねえ。べつに批判するわけじゃないんだけれど、ヒスイを探している人ってヒスイ以外はすべてクズ石あつかいだから。

でもさ、ぶどう石を知っている人はヒスイと見間違えることなんてあるのかって不思議に思っているんじゃないかな。
なぜヒスイと見間違えたかというと、海岸に打ち上げられるまでの間に海中でもまれ、ぶどう石のあの特徴的な形がキレイサッパリなくなっていたからだ。もう、ツルツルのスベスベでしたよ。

そこでぶどう石の特徴的な形について。
英名プレナイト。この名前は発見者にちなんでつけられたものだけど、日本名の「ぶどう石」は見たままの形状を表したもの。

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 どうかな、写真でわかるかな。
 淡い緑の丸いものがポコポコたくさんついているのがわかるでしょう。

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画像はウィキペディアより

 これはどうかな。葡萄の房のように見えるところから「ぶどう石」となった。

 下の写真は一粒って感じ。
budou1wiki.jpg
画像はウィキペディアより

でもこの一粒が1個の結晶ってわけじゃない。小さな細かい結晶がぎゅっと固まっている。正確には四角い板状の結晶が放射状に集まることによってこの形になっている。
もちろん単結晶もあるんだけど、数ミリ程度だと沸石(ふっせき:ゼオライト)と区別がつかないし、数センチになると魚眼石(ぎょがんせき:アポフィライト)にそっくり。

ぶどう石って不思議だね。単結晶にはあまり特徴がなくて細かい結晶が集合して初めて特徴的な形になる。こんな石は他にない。ぶどう石はこのポコポコした形になって、初めてぶどう石になるのだ。


ところで、最初に思った人もいると思うけど、ぶどう石って日本でも産出するってことなんですよ。
その中でも日本産の鉱物を紹介した図鑑に必ず載っているぶどう石の産地がある。それは島根県松江市の美保関というところ。ずいぶん立派なぶどう石が紹介されている。
松江市の日本海側だから、いつか機会を作って必ず行ってみたいと思ってます。

富山県から新潟県にかけてのヒスイ産地も、ヒスイだけでなくぶどう石はじめコランダム(ルビー・サファイア)やその他めずらしい石をたくさん見つけることができる。
これからの季節、ヒスイ探しに行ってみようかなって思っている人もいるかもしれないね。
ヒスイ探しに行ったら、ヒスイだけじゃなく「おや?」っと思った石はすべて採集して必ずフォッサマグナミュージアムで鑑定してもらわなければならない。
遠慮して2・3個だけっていうのはダメですからね。100個くらい持っていっても5分もかからずに鑑定してくれるから。

こんなに多くの石を産出する日本ってやっぱりスゴイなー。

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カミさんのひと言
ぶどう石ってマスカットだけど、巨峰のぶどう石があったらいいのにって思ってます。

 

 


 

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