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地球のかけら

【第46回】ジルコンとキュービックジルコニア

2009年1月15日
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(画像はウィキペディアより)

キレイなお花の写真で和んでいただきました。

このお花、風信子(ふうしんし)です。
風信子っていわれてもよくわかんないです。
恥ずかしながら、私、教えてもらうまで知りませんでした。
ヒヤシンスのことなんですね。ヒヤシンスの日本名が風信子。


変な名前。カワイイけど。 


なんでこういう字を当てたんでしょうか。風を「ヒヤ」と読めとでも……。

って、そんなことはおいといて、このヒヤシンスを名前に持つ石、ジルコン(風信子石:ふうしんしせき)が今回のテーマです。


ジルコンっていうと、合成石のキュービックジルコニアが有名なんで、しばらく私自身ジルコンっていうのはキュービックジルコニアの愛称で、最初から合成石なんだと思ってました。


もちろん、それは大間違いでジルコンは立派な天然石でキュービックジルコニアとはまったくの別物だってこと、今はちゃんと知ってますからね。

今回はジルコンとキュービックジルコニアの違いをハッキリさせてみたいと思います。



○ジルコン

愛称でも何でもなく、れっきとした鉱物名。
もちろん天然石。

ジルコニウム(Zr)を主成分とした珪素(Si)と酸素(O)の化合物。
化学式は「ZrSiO4」。

最近、鉱物系の本もよく出ているので、ちょっとそれっぽくいうと、ジルコニウムの珪酸塩鉱物ということになる。

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(画像はウィキペディアより)

ジルコンは大きく「ハイタイプ」と「ロータイプ」に分けられる。


宝石として加工されるのはハイタイプのほう。色は基本的に茶っぽいオレンジから赤っぽい色。
加熱処理をして透明や青などを作っている。

宝石になったジルコンって今はほとんど見ないけど、カミさんの父上と母上が結婚したとき、その婚約指輪とお返しのネクタイピンがブルージルコンだったんです。もちろん今もあります。
一方、結晶内に放射性物質を多く含んでいるものをロータイプといい、その放射性物質が核分裂する際に放出するエネルギーによって結晶が傷つけられ、何万年もかけてボロボロになっていく。


私たちが一般的に目にするジルコンは、すべてハイタイプ。ロータイプは緑色をしているから、もし緑のジルコンがあったらそれかもしれないよ。




○キュービックジルコニア

日本語で立方晶ジルコニア(りっぽうしょうジルコニア)。
工業用に合成された二酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO2)にイットリウムやマグネシウムを混ぜて結晶化させたもの。典型的な合成石。

屈折率はダイヤモンドに匹敵し、8.5という硬度も宝石として申し分ない。
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(画像はウィキペディアより)

どうですか、写真だけだとダイヤモンドと区別できないでしょう。
上質なものは専門家の目をもあざむいてしまうくらい。
こんなにキレイな石がテレビショッピングだと1カラット1万円以下なんだから、合成とはいえお得感がある。


重さ的に、約1.7倍キュービックジルコニアの方が重いけど、違いはそのくらいだけ。ちゃんと検査をしないかぎり外観での区別は難しい。



というわけで、ジルコンとキュービックジルコニアはジルコニウムを主成分としていることが共通しているだけの、まったくの別物だということです。



過去の私のようにこの2つを同じものだと思っている人がたくさんいるって聞きました。
もし近くにそういう人がいたら、しっかり訂正してあげてくださいね。そうでないと、ジルコンが不憫です。


ところで、ジルコンは天然石だから、もちろん採集もできます。日本でも採集できるし私たちも採集して持っている。

一番お手軽に採集できるのは奈良県某市かな。
小川の砂の中にジルコンが混じっている。

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※ 茶色っぽいオレンジの石がジルコン。
その他 青:サファイア、ピンク:ルビー、赤:ガーネット、etc……。


 川底の砂の中に宝石が混じっている。まさに宝石の砂。
ただし、一粒1ミリ。大きくても2ミリほどしかない。ホントに砂。写真だって顕微鏡写真(笑)。


そういえば、キュービックジルコニアはなぜ「キュービック」っていうんだろうって思ったりします。
合成ルビーとか合成エメラルドのように、人工的に作られているんだから「合成ジルコニア」と呼ぶのが妥当なんじゃないかなって。

たぶん、ジルコニア自体が合成で天然に存在していないからじゃないだろうか。元々が合成なんだから「合成合成ジルコニア」って変だし。

でも、合成だと知らなかったら「キュービックジルコニア」という天然石だと思っちゃいそうだから、やっぱりまぎらわしいってことだよなあ。


おまけ ------------------------------------------------------
18世紀、すでに赤っぽいジルコンをヒヤシンスと呼んでいましたけど、1000年以上前、ヒヤシンスといえば現在のサファイアのことでした。
じゃあ当時サファイアと呼ばれていたものはなんだったのかというと、ラピス・ラズリです。
で、ジルコンは?
んー、まだ見つかっていなかったんじゃないのかな。 

【第45回】初日の出のような輝き。ルチル・イン・クォーツ

2009年1月 1日

あけましておめでとうございます。


平成21年、丑年。

本年もみなさまのご健康とご健勝をお祈り申し上げます。
さて、お正月にふさわしい石ということで、昨年は勾玉(まがたま)を紹介しました。

勾玉は日本の古代から伝わる由緒正しい石の形。

勾玉は日本という国がある限り永久にお正月にふさわしい石。いや、お正月どころか日本を象徴する日本人の心の石といった方がよりふさわしいのです。

というわけで、あらためてお正月と訊かれて想像することを考えてみた。

初日の出


どうだ!

大勢の人が初日の出を見るために、山の頂上に登ったり、寒い中徹夜して日の出をまっている。そして、パンパンと柏手を打ち一年の幸福を祈願する。初日の出は一年の象徴だ。


そして日の出とくれば、私は「ルチル・イン・クオーツ」を真っ先に思い浮かべる。
さーっと光が射し暗闇の大地を照らしていく。ルチルはまるでその光のようだ。
 

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透明な水晶の中に黄金色の針が無数に入っている。その黄金色のルチルがそのまま太陽の光の矢のごとく輝いているように見えるでしょう。

ルチル(金紅石:きんこうせき)
その名の通り黄金色に輝く結晶。


「紅」はどこいった? っていう声も聞こえてきそうだけど、ルチルの大きな結晶は赤っぽい色をしている。
たぶん、本来の色は赤なんだろう。黄金に見えるのはあくまでも反射光。ルチルの小さな結晶は結晶面が非常になめらかだから、反射光で本来の色がかき消されているんだと思う。 

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そして、そのルチル・イン・クオーツの中にもろ太陽を象徴するものがある。
その名も「太陽ルチル」。


ホントはもっと大きな声で、ドーンと叫びたいところなんだけど、私はそれを持っていない。
だからちょっと小さな声で、しかし力強く叫びたいと思う。

太陽ルチルは「ルチル・イン・クオーツ」の中でとくにすばらしい!!
水晶の中に黒い芯があり、そこから6方向の放射状にルチルが伸びている。それはもう「太陽の光の矢」が入っているどころではない。太陽そのものが入っているのと同じだ。

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写真は太陽ルチルの中身。これが水晶の中に入っている。
黒い部分は一般的にヘマタイト(赤鉄鉱:せきてっこう)といわれている。
ルチルは双晶になりやすい性質を持っていて、このヘマタイトを母岩としてルチルが60°の角度で次々と双晶を繰り返していく。その結果が太陽だ。


ところで余談ですけど、この双晶の形の「*」型。けっこうよく見かける形なんです。とくに宝石店で。
スタールビーとかスターサファイアのあのスターがまさにこの形。中に入っている針状のインクルージョン(内包物)がスターの原因。

じゃあ、そのインクルージョンって何って訊かれると、ルチルなんですよ。宝石としてはルチルって出てこないけど、実はルチルがいないと成立しない宝石もあるってことかな。

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でも、太陽ルチルのサファイアとかルビーっていうのはないなあ。


あらためてルチル・イン・クオーツの太陽ルチル。しつこいですけど私は持っていません。
なぜ持っていないか。

それは、値段が高いから。

ブレスレットだと20万円ほどもする。

いい物になると、ビーズ1個が4万円だったりしている。
でも欲しい! 小さくていいから1個は持っていたい。いつか必ず手に入れようと思っている。


そうだ、今年の目標はこれにしよう。

そしたら、毎朝、初日の出だ。

毎日が正月になる。

朝から酒飲んで……、ゴロゴロして……。
あ、ダメだ。すでに正月ボケしてる。

 

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