クリスマスだねー。家のまわりでは電飾で光っている家が増え、さらにスキー場の照明もついた。
スキー場のそれはまさに夜空に浮かぶ電飾。天も地もこの季節はホントにキレイだ。
でもね、忘れてほしくないんだけど、12月25日は……。
ぉぅぉぅぉぅ。ネロとパトラッシュの……、ぉぅぉぅぉぅ。
ああこれ以上書けない。書くと本当に泣いてしまいそうだ。
ああ、すみません。個人的な思いはおいといて、クリスマスっていうか
キリスト教でもっとも有名なシンボルは何をおいても十字架なわけなんですけど、
この十字架にそっくりな、ていうか、まるでそのままの石があることをご存じですか。
名前もそのまま十字石(じゅうじいし)。
(画像はウィキペディアより)
それで今回、この石のことを書こうと思って、何冊かの本やインターネットを見てみた。
とくにインターネットはたくさんヒットする。これだけでも人気の高さがわかるというもの。
ところが何か変なのだ。
何が変かというと、例えば「丸く研磨すると十字がとてもカワイイ十字石」とか、「鉱物的には紅柱石の変種が十字石である」と書かれている。
これは私の知っている十字石のことではない。
紅柱石と十字石は何のつながりもないし、そもそも十字架を丸くしたら、その時点で十字架じゃないだろう。
どうやら2種類のまったく別物である石を、ひとつの同じ石として混同しているようなのだ。
もう気づいている人もいると思うが、これはキャストライト(空晶石:くうしょうせき)とスタウロライト(十字石)が混同されているのだ。
キャストライトはこの石。
(画像はウィキペディアより)
石の中に十字の模様が入っている。これならばビーズにしたとき十字がとても可愛いらしく見えるだろう。
そして、アンダルサイト(紅柱石:こうちゅうせき)の変種であることも事実だ。
というわけで、あらためて今回はキャストライトとスタウロライトについて。
まずはキャストライト。
(画像はウィキペディアより)
この石は基本的にはアンダルサイトと化学的な違いは一切ない。
アンダルサイトは日本名(紅柱石)のとおり、四角柱をした細長い結晶で淡い紅色をしている。
ところが、まれに白い結晶のものがあって、それを輪切りにすると中に十字の模様が入っている。それをアンダルサイトの変種としてキャストライトと呼んでいる。
この十字の模様は石墨などの内包物が集中したもので、なぜそこに集中するのかっていうと、それはまだよくわかっていない。
また、キャストライトはカイヤナイト(藍晶石:らんしょうせき)とも関係が深い。
アンダルサイトとキャストライトは前述のとおり同じ鉱物なのだけれど、実はカイヤナイトとも化学的成分がまったく同じ同質異像(どうしついぞう)の鉱物なのだ。
※同質異像:例えばカルサイト(方解石:ほうかいせき)とアラゴナイト(霰石:あられいし)と鍾乳石は化学的成分がまったく同じ同質異像の鉱物である。
つづいて、スタウロライト。
英名:スタウロライト、日本名:十字石は、鉱物的に何かの変種であったり何かと同質異像の関係にあるということは一切ない。まったく単独の鉱物。2つの結晶が60°または90°で双晶になっている。
十字石というくらいだから90°がダントツ人気。
中には60°で3つの結晶が双晶している「*」型もある。
一番多いのは60°の「x」型。ウチにもこの「x」型がある。
(写真はウチにある「x」型)
この石は雲母の中にできることが多く、その雲母が風化して崩れやすいことから土の中からゴロンとこの十字架が出てくる。ヨーロッパで最初に発見した人はビックリしただろうな。
当然のことながらヨーロッパでは古くからお守りとしてこの石を持ち歩いていた。
しかし、この石には劈開(へきかい)という一方向に力を加えると簡単に割れてしまう性質がある。
何かの拍子にポキッと折れてしまったら、さぞショックを受けたことだろう。
十字石といえば鉱物的にもパワーストーン的にもこのスタウロライトのことを指すので、
そこは明確に区別しなければならない。
ところで、この十字石、私が住んでいる富山県でも産出するんだ。
今は合併して黒部市になった旧宇奈月(うなづき)町がそこ。
そこに流れる黒部川の河原に十字石を含んだ巨大な石が転がっている。
調べてみると、深い山の中ってわけじゃなく、かなり下流の方らしいってことで探しに行ったんだけど、どうにもピンポイントな位置がわからなくて、いまだに採集できていない。
というわけで、この2つの石、模様が十字か形が十字かの違いなのだけれど、どちらもそれぞれに魅力的な石。
クリスマスのイベントの中にこれらの石を含めると、より雰囲気が高まるんじゃないかな。
ネロもきっとルーベンスの絵の中に十字を見ていたに違いない。
ぅぅおうおうおううううー。