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地球のかけら

【第44回】十字架そっくりの石

2008年12月16日

クリスマスだねー。家のまわりでは電飾で光っている家が増え、さらにスキー場の照明もついた。
スキー場のそれはまさに夜空に浮かぶ電飾。天も地もこの季節はホントにキレイだ。

でもね、忘れてほしくないんだけど、12月25日は……。

ぉぅぉぅぉぅ。ネロとパトラッシュの……、ぉぅぉぅぉぅ。
ああこれ以上書けない。書くと本当に泣いてしまいそうだ。


ああ、すみません。個人的な思いはおいといて、クリスマスっていうか
キリスト教でもっとも有名なシンボルは何をおいても十字架なわけなんですけど、
この十字架にそっくりな、ていうか、まるでそのままの石があることをご存じですか。


名前もそのまま十字石(じゅうじいし)。
 

44_1.jpg
(画像はウィキペディアより)

それで今回、この石のことを書こうと思って、何冊かの本やインターネットを見てみた。
とくにインターネットはたくさんヒットする。これだけでも人気の高さがわかるというもの。

ところが何か変なのだ。


何が変かというと、例えば「丸く研磨すると十字がとてもカワイイ十字石」とか、「鉱物的には紅柱石の変種が十字石である」と書かれている。
これは私の知っている十字石のことではない。

紅柱石と十字石は何のつながりもないし、そもそも十字架を丸くしたら、その時点で十字架じゃないだろう。
どうやら2種類のまったく別物である石を、ひとつの同じ石として混同しているようなのだ。 
もう気づいている人もいると思うが、これはキャストライト(空晶石:くうしょうせき)とスタウロライト(十字石)が混同されているのだ。

キャストライトはこの石。

44_2.jpg
(画像はウィキペディアより)

石の中に十字の模様が入っている。これならばビーズにしたとき十字がとても可愛いらしく見えるだろう。
そして、アンダルサイト(紅柱石:こうちゅうせき)の変種であることも事実だ。

というわけで、あらためて今回はキャストライトとスタウロライトについて。

まずはキャストライト。

44_3.jpg


(画像はウィキペディアより)

この石は基本的にはアンダルサイトと化学的な違いは一切ない。

アンダルサイトは日本名(紅柱石)のとおり、四角柱をした細長い結晶で淡い紅色をしている。
ところが、まれに白い結晶のものがあって、それを輪切りにすると中に十字の模様が入っている。それをアンダルサイトの変種としてキャストライトと呼んでいる。


この十字の模様は石墨などの内包物が集中したもので、なぜそこに集中するのかっていうと、それはまだよくわかっていない。


また、キャストライトはカイヤナイト(藍晶石:らんしょうせき)とも関係が深い。
アンダルサイトとキャストライトは前述のとおり同じ鉱物なのだけれど、実はカイヤナイトとも化学的成分がまったく同じ同質異像(どうしついぞう)の鉱物なのだ。


※同質異像:例えばカルサイト(方解石:ほうかいせき)とアラゴナイト(霰石:あられいし)と鍾乳石は化学的成分がまったく同じ同質異像の鉱物である。

つづいて、スタウロライト。
 

44_4.jpg

英名:スタウロライト、日本名:十字石は、鉱物的に何かの変種であったり何かと同質異像の関係にあるということは一切ない。まったく単独の鉱物。2つの結晶が60°または90°で双晶になっている。


十字石というくらいだから90°がダントツ人気。
中には60°で3つの結晶が双晶している「*」型もある。
一番多いのは60°の「x」型。ウチにもこの「x」型がある。


(写真はウチにある「x」型)
44_5.jpg

この石は雲母の中にできることが多く、その雲母が風化して崩れやすいことから土の中からゴロンとこの十字架が出てくる。ヨーロッパで最初に発見した人はビックリしただろうな。

当然のことながらヨーロッパでは古くからお守りとしてこの石を持ち歩いていた。


しかし、この石には劈開(へきかい)という一方向に力を加えると簡単に割れてしまう性質がある。
何かの拍子にポキッと折れてしまったら、さぞショックを受けたことだろう。


十字石といえば鉱物的にもパワーストーン的にもこのスタウロライトのことを指すので、
そこは明確に区別しなければならない。
ところで、この十字石、私が住んでいる富山県でも産出するんだ。


今は合併して黒部市になった旧宇奈月(うなづき)町がそこ。
そこに流れる黒部川の河原に十字石を含んだ巨大な石が転がっている。


調べてみると、深い山の中ってわけじゃなく、かなり下流の方らしいってことで探しに行ったんだけど、どうにもピンポイントな位置がわからなくて、いまだに採集できていない。 



というわけで、この2つの石、模様が十字か形が十字かの違いなのだけれど、どちらもそれぞれに魅力的な石。


クリスマスのイベントの中にこれらの石を含めると、より雰囲気が高まるんじゃないかな。 
ネロもきっとルーベンスの絵の中に十字を見ていたに違いない。
ぅぅおうおうおううううー。

 

 

【第43回】世界3大ヒーリング(パワー)ストーンといわれる石

2008年12月 1日

チャロアイトとスギライト。

スギライトwiki

43_1.jpg

43_2.jpg

この2つの石はラリマーとセットで「世界3大ヒーリング(パワー)ストーン」っていわれている。

以前にラリマーはやったから、残りの2つってことかな。
昨日の夜、そんなことを考えながら布団に入ってたら眠れなくなっちゃってさ、明け方くらいまで
「出だしはどうしようか」「どんな内容にようかな」なんて考えてた。

それなのに朝起きたらなんにも憶えてないの。
チャロ、チャロ……。あれ?  って。
「うまくまとまったな」っていう感覚しか残ってなくて、なんだかホントにもう。
というわけで、最初から考えなおし。

チャロ、チャロ……。スギ、スギ……。


どちらも紫色してる。
チャロはマーブル模様の紫色。ちょっとラメが入ったようなガラス光沢がある。
キャンディでそっくりなのがあるよね。
チャロの結晶はあるにはあるけど、あってもものすごく小さい。基本は塊。
トルコ石やラピスのような感じに思ってもらえたらいいかも。

43_4.jpg
(画像はウィキペディアより)

ちょっといい話だよね。でも、新鉱物って自分で自分の名前をつけることが認められていない(発見場所の地名や、すでに亡くなっている人物にちなんだもが認められる)。
もし、杉博士自身が発表していたらスギライトという名前にはならなかったと思う。


そんなスギライト、紫色の印象が強いけど、最初に発見されたのは淡い緑色だった。
緑色というよりは「うぐいす色」と表現されることが多いな。
その後、南アフリカで紫の石が大量に発見され、それがスギライトであることがわかった。

紫の原因は微量に含まれるマンガンの影響らしいんだけれど、
マンガンはロードナイトやインカローズのような赤が基本色。


緑に赤を混ぜると紫になるんだろうか。


この石も基本は塊。結晶はごくごく小さいものしかない。


スギライトは初めアメリカで人気が出たんだけど、そのときなぜか名称をス「ジ」ライトと間違えて広まったらしく、日本に入ってきたときしばらくそれがスギライトだと誰も気づかなかったそうだ。

さて最後に、なぜこれらが「世界3大ヒーリング(パワー)ストーン」って
呼ばれるようになったのかって話。
たぶん理由はないと思う。でも、何もないのに「世界3大」なんて呼ばれ方をされるようになるはずはない。


そう思って考えてみると、いくつかの共通項が見つかった。
そこに理由が隠されているんじゃないだろうか。その共通項とは。

まず、それぞれの石が発見された年。
(発見されたというよりも「新鉱物として発表された年」といった方が正確)
チャロアイト 1978年
スギライト  1977年
ラリマー   1974年


次に産地。


チャロアイト ロシア
スギライト  南アフリカ
ラリマー   ドミニカ


一見ぜんぜん関連がないように見えるけど、実は大きく似ているところがある。

それは大量に産出する産地がそれぞれ1か所しかないってこと。


簡単にいい換えると、希少価値が高いってことだ。

しかも、人気が高いために乱掘するもんだから、すでに底が見え始めているらしい。枯渇は時間の問題といわれている。


そしてもうひとつ。


どの石もアメリカで人気が出たということ。
どうかな、だいぶ理由が見えてきたんじゃないかな。


あくまでも私の考えなのだけど、これら3つの石は古くからあるパワーストーンに比べてあまりにも新しく歴史がない。しかし、歴史がないということは無垢な存在だということなのだ。
つまり、現在まだ知られていない何かを持っている可能性が大いにある。そんな石はこの3つ以外にない。

それに気づいたアメリカ人のヒーラーが「(注目するべき)世界3大」と呼び、それが広まったんじゃないのだろうか。きっとそうにちがいない。
忘れないで欲しい。チャロアイト、スギライト、そしてラリマーはこれから私たちが歴史を作る石なのだ。

 

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