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地球のかけら

【第41回】アンモライト

2008年11月 1日

先日、静岡県富士吉田市の奇石(きせき)博物館に行ってきた。 
ここは昔の日本産鉱物もたくさん展示されていてとっても見応えがあってよかったですよ。しかも、それ以上にビックリしたことがありました。それは館内のショップにアンモライトが売っていたこと。

アンモナイトじゃないですよ。アンモライトですからね。

アンモライトって化石のアンモナイトの表面がアラゴナイト(あられ石)に被われて七色に光るようになっためずらしい石。
ただでさえ化石として人気の高いアンモナイトが七色に光るんだから、鉱物ファンにとってもアンモライトは魅力的すぎる。

41-anmo1wiki.jpg41-anmo2wiki.jpg 

(画像はウィキペディアより)

もちろん、めずらしいとはいっても、意外に産出は多いから探して見つからないということはない。石を売っているお店なら高確率で置いてある。

でも、高いんですよ。
大きいものになると何万円もしちゃってなかなか手が出せない。

上の写真のように大きなものになると、値段を下げるために分割して売られているんだけど、それじゃあせっかくのアンモナイトの形がわからない。
やはりアンモライトはアンモナイトとしても楽しみたいってのが人情ってもの。
だから、いままでショップのウインドウにへばりついて「はあー、きれいだねー」ってしかいえなかった。

そんなアンモライトが奇石博物館のショップに売っていたのです。
しかも大きさは手のひらサイズ。
しっかり渦をまいていて、アンモナイトの化石であることがハッキリわかる。
そして、値段は3000円。

これなら買える!

断っておきますけど、アンモライトを見て興奮していたのはあくまでもカミさんということでお願いしますね。

それで、そこには20個くらいあったんだけど、カミさんはそれを全部出して並べて、「色の出が悪い」とか「赤がうまく出ていない」とかなかなか選べない。

彼女がいうにはアンモライトの色はアラゴナイトの層の厚さによるもので、層が厚いと赤や緑を発色し、薄いと青系の色を出すらしい。
青系の方がかなりめずらしいようなのだけれど、カミさんはどうしても赤系に惹かれるらしく、どちらかに決められない。私がだいぶ飽きてきた頃にようやく「ふー、5個にまでしぼった」なんていってる始末。
ホントにもー、なんていう私のぼやきを無視しつつ、それまで展示物を見ていたよりも長い時間をかけてようやく選んだ。。
それがこれ。

41-anmoa.JPG


ま、というわけで初めて手にしたアンモライト。やっぱり赤なんだねっていうところ。


さて、私たちが初めてアンモライトを見たのは10年くらい前。確か新潟県糸魚川市にあるフォッサマグナミュージアムだったと思う。

両手を大きく広げたくらいの、ちょっとした丸テーブルくらいのアンモナイトが置いてあって、それが青く光っていたんですよ。
見た瞬間、ホントにガラスの板を上に敷いてテーブルとして部屋に置いたらどんなにいいだろうと思ったことを憶えている。

でも、このときはまだアンモライトというものに対する世間の認知度は限りなくゼロに近く、私たちも知らなかった。
アンモライトは宝石名ということもあるのだけど、確かにそのアンモナイトにも「アンモライト」とは書かれていなかった。

ところで、拙著「宝石・鉱物おもしろガイド」を一番最初に書いたとき、アンモライトについて「青く光る藍鉄鉱になった……」と書いちゃったんだよね。
今はもう訂正してあるんだけど、当時、化石に置き換わる青い石っていうと藍鉄鉱(らんてっこう:ヴィヴィアナイト)くらいしかなかったんだ。


ま、いい訳はおいといて、アンモライトの今の話。
キレイな宝石って必ず模造品が作られるんだけど、アンモライトについては今のところ模造品は作られていない。
でも、もしイミテーションが作られるとしたら、きっとラブラドライトで作られるんじゃないかなって思う。
色の出方が似ていることと、ラブラドライトって基本的に青系でしょ。青系がめずらしいっていうアンモライトのイミテーションにはピッタリ。

そこで憶えておいてほしいのは、ラブラドライトとアンモライトの色の出方の違い。
ラブラドは色の出る方向がハッキリ決まっていて、そこからちょっとでもずれると、もう色なんかぜんぜんわからない。
それに対して、アンモライトはとくにいいものになると全方向360°どこから見ても発色がわかる。しかも一色じゃない。赤系、緑系、もしくは青系のどれが強いかというだけで基本的には全色出る。
杞憂に終わればいいんだけど、イミテーションっていつ登場してくるかわからないから。


それではおまけ。

別の鉱物に置き換わった化石の紹介

○ 貝オパール
二枚貝が化石になるときオパールになったもの。
中には七色の遊色を示すものもある。残念ながらウチにあるものは遊色が出ていない。

 41-kaio.JPG


○ 月のおさがり
巻き貝の中がアゲート(瑪瑙:めのう)もしくはカルセドニー(玉随:ぎょくずい)になったもの。
その後、殻の部分が剥がれ落ちこんな形になった。先端までしっかり残っているものはかなり貴重。

41-tukino2.JPG

 

※「月のおさがり」ってちょっとステキな名前だね。
というわけで、「おさがり」ってどういう意味か調べてみよう!
 

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