シトリンって黄色い水晶なんだけど、実はとってもめずらしいってこと、みなさん知ってる?
そんなこと知ってるよ。って人も多いと思うけど、たぶん思っている以上にシトリンは本当にめずらしい。
水晶といえば紫水晶が一番人気で、それは私たち採集家も同じ。紫水晶を求めてあちこちの山へ行くけどシトリンを探すってことはあまりない。っていうか、まったくない。
でもそれは人気がないからじゃない。それは、あまりにも「ない」から。いくら探してもシトリンは見つからないから。
だから誰もが、シトリンのことはあまりいわなくなった。いわなくなったら、何か人気がないような感じになってしまった。
宝石ってその条件のひとつに「希少なこと」ってあるんだけど、希少すぎると反対に認知度が下がって忘れ去られてしまう。
ほら、ダイヤモンドって希少希少っていうけど、どこの宝石店にも必ずあるでしょ。やっぱり、ある程度まとまって産出しないと評価の対象にもならない。
シトリンはまさにそんな石。どんなにめずらしくても、そのことを知らない人には「ふーん」としかいってもらえない。
ところで、シトリンは希少すぎるって声を大にしていっているけど、ショップに行けばどこにでも必ずシトリンは売っている。
とりたてて騒ぐようなめずらしい石じゃないって感じでたくさん並んでいる。
あれは何なのか。
あれは何なのか? と問われれば、あれは紫水晶なのです。
正確には元紫水晶です。
紫水晶の発色の原因は鉄イオン。シトリンも鉄イオン。若干、電子の配置がどうのこうのなんて難しいことがあるみたいだけど同じ鉄イオンによる発色。
鉄イオンを含んだ水晶に放射線が当たると紫になる。
紫水晶ばかりだということは自然には放射線がたくさんあるってことなんだろう。
でもシトリンはごくわずかではあるけれど産出はある。天然に産出するシトリンはイエローというよりはどちらかというと若干黒が入ったような黄色。ブランデーイエローとかいったらいいのかなあ。
私も写真でしか見たことがないけど、いまいち鮮やかさが足りなかったんだよね。
ところがあるとき、ブラジル産の濃い紫水晶を約450℃で加熱すると鮮やかな黄色になることを発見した人がいたんだ。
「あ、こりゃいいや、これシトリンでいこう」ってことになって、それ以来、紫水晶を加熱処理してシトリンにすることが一般的になった。
現在流通しているシトリンは99パーセントがこれなんだ。
もちろん元になる紫水晶の質によってシトリンも色が変わるわけだから、中にはやけに赤っぽいとかオレンジっぽくなるものもあって、そういうのはパルメイラとかマディラって名前になって売られている。
色的には黄色、赤味がかったオレンジ、茶色味がかった黄色に大きく分類されているのかな。
だからもし、いまいち鮮やかでない、ちょっとパッとしないシトリンがあったら、それこそ天然無垢なシトリンなのかもしれないよ。
そういえば、誰かのホームページで「紫水晶は太陽光で退色するか」っていう実験をやってたな。
窓際にブラジル産の紫水晶をおいておいたらどうなるかっていう内容だったんだけど、1年間おいておいたら黄色くなったって。
えらいなー。こんな実験、自分じゃできないよ。
(私はやってみたいな<カミさん)
それと、シトリンといえば、その色が宝石のインペリアルトパーズに似ていたんだよ。だから今から30年か40年くらい前かな、シトリンはシトリントパーズっていう名前をつけられて、明らかにトパーズとして売られていたことがあった。これは完全に悪徳商法で今はもうそんなことはない。
でもそんな経緯もあって、今でも宝石店ではシトリントパーズという名前が一般的。シトリントパーズなんてパワーストーンショップやミネラルショップではあり得ない名前。宝石業界だけに残っている悪習なんだと思う。
シトリントパーズという名称は早く消え去らなければならないものだと私は考えている。
さて、最近、ちょっと水晶の記事が多いんだけど、なぜかっていうと奥が深いから。なんだか、やけに水晶って奥が深いんですよ。
色が違えば名前が違うっていう石は多いけれど、ちょっと形が違ったり面の形が違ったりするだけで名前が違ったり意味が違う石って水晶以外ないんです。
なぜ水晶だけがこんなにすごいことになっているのかって考えると、それは形がよくて色も豊富にあってキレイだからに違いない。
さらに数も多いから値段もこなれている。
そうくれば当然人気はナンバーワン。しかもダントツのナンバーワン。
人気のあるものにはいろんな付加価値がついてくるってことなのでしょう。
今回、シトリンのことを書いてみて思ったことは、シトリンだけでもむちゃくちゃ奥が深いってこと。
水晶についてはこれからもことあるごとに取りあげてみたいと思います。
話は変わるんですけど、シトリンの語源はフランス語でレモンっていう意味のシトロンなんだけど、硫黄をインクルージョンとしたレモン水晶ってちゃんとあるよね。
フランスではどうやって区別しているんだろうね。シトリンクオーツとシトロンクオーツなのかな。
バーンとアップで写真いきましょう!!
(画像はウィキペディアより)
この結晶、青がキレイだよねー。
一見水晶にも見えるけど形が違う。何の結晶かわかるかな?
それじゃ、もう一枚いってみましょ。
(画像はウィキペディアより)
この写真を最初に見たとき、一瞬トパーズかなって思ったくらい。
それもそのはず、この石の結晶の種類(結晶系:けっしょうけい)はトパーズと同じ斜方晶系(しゃほうしょうけい)。
水晶は断面が六角形だけどこの結晶は平行四辺形。どこをとってもトパーズにそっくり。
見た目で違うのは条線(じょうせん:結晶面にできるスジのようなもの)がほとんどないことと、やっぱり色かな。
鮮やかな青と違う淡い青は空の色にとてもよく似ている。
ちょっと今、空を見上げてみてください。
室内とか夜とかだったらどうしようもないけど、今、見ようと思ったら見られる人ね。
それで、青空が見えたなら、その色をよーく観察してみて。
青空の青って単なる水色じゃなく若干グレーが入っている感じでしょう。
私もこれまでそんなこと考えて青空を見たことなかったから、カミさんにいわれて初めて客観的に空を見てみた。
そしたら、そうなんだよね。単純に水色じゃない。わずかにグレーが入っている。
それがこの石の色。
空の青を持つこの石につけられた名前は天青石(てんせいせき)。
セレスタイト、またはセレスタインといえば、「ああ、それか」って人も多いんじゃないかな。
この名称にも「空色」という意味がある。んー、世界中の人がこの石に対して同じ印象を持っていたってことだよね。
この石はねえ、小さくてもいいから持っていて損のない石だよ。
何でかっていうと、結晶が小さくてもこの色がちゃんとわかるから。
ウチには親指と人差し指で作った輪っかくらいの大きさの母岩に、小さな結晶が2~3本立っている程度のものが1個あるだけなんだけど、でもその結晶はしっかり青い。空色がハッキリわかる。
どお? なかなかいい色でしょ。
この結晶、1センチもないくらい小さいんだけど、しっかり青がわかるところがいい。
反対に大きいものだと下の写真みたいに色が濃くなりすぎの感じがしないでもない。
(画像はウィキペディアより)
こ、これはこれでいいかも。まるで、深い湖の底をのぞいているよう。
ところでこの石、主成分はストロンチウムという元素なんだそうだ。
で、ストロンチウムって細かく細かく砕いて粉末にして燃やすと真っ赤な炎が出るんだって。
だから何? っていっちゃダメだよ。その赤って花火の赤なんだから。
不思議だよねー。セレスタイトっていったら空色の青が特徴なのに、その主成分は赤の原料なんだから。いったい何が作用して赤が青になるんだろう。
とはいっても、純粋なセレスタイトは無色だからストロンチウムは発色に関係なさそう。
たぶん、紫水晶とかルビーとかサファイアと同じで、何か別の元素がイオンの形で入り込んで色の元になっているんじゃないかと思っている。
このセレスタイト、しばらく店頭から消えていた時期があったんだけど最近また見かけるようになってきた。どうやら人気が再燃し始めているらしい。
それはとっても嬉しいことなんだけど、この石の性質として絶対に忘れちゃいけないことがひとつだけある。
何かというと、セレスタイトはとってもキズつきやすい石で、硬度が3しかないってこと。
3だよ、3。
蛍石でも4なんだよ。
水晶の硬度が7だから、同じように扱ったらたいへん不幸なことになってしまう。
人間の爪が2.5だから、ヘタすると爪でキズがつきかねない。
もし、セレスタイトのビーズでブレスレットを作ったなら、十分注意して扱わないといけないからね。
ああでも、青い石って魅力的なんだよね。取り扱い注意ってわかっていても、やっぱり持っていて損はない石だよ。
原石だろうと丸玉だろうと手に入れたら、これでもかっていうくらい大切に扱わなければならないセレスタイト。
でもちゃんとそのように扱えたなら、たとえ外は土砂降りの雨でもセレスタイトのまわりだけはいつでも快晴だよ。