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地球のかけら

【第28回】魚眼石

2008年4月15日

4月になっていきなり暖かい日が続いて春を実感しております今日この頃。みなさんいかがお過ごしですか。
4月というと千葉県松戸市に住んでいた頃、上野まで常磐線で通勤していたんですけど、毎年4月になるとやけに混むんですよ。まあ、一年中ツライことはツライんですが、4月は新人が増える分、混み方はハンパじゃないんです。
ところがですね、その常磐線ホントに死ぬほどツライのは1か月間だけ。5月の中旬を過ぎるあたりから少し空いてくるんです。んー、減ったなって感じ。不思議ですねえ、なぜなんでしょうかねー。 

というわけで、新入生でも新社会人でもない私は、4月というとゴールデンウイークまであとわずか。とそっちの方ばっかり気になって仕方ありません。

ああっ、旅に出たいっっ!
一週間くらい日本全国を宝探しに廻りたい。

昨年は4月2日にスーパー宝探し号(三菱ミニキャブ:ワンボックスの軽自動車:旅に出るとこの中で寝泊まりしている)をクラッシュさせてしまい、その反省から一年間謹慎し長距離を自粛しました。

それが解けた今、思いっきり遠くへ行きたいぞーっ!

そこで、現在考えているところは青森県。

しばらく前に岩手県の石友から青森で採集したという魚眼石(ぎょがんせき)をいただいた。魚眼石っていうと、無色透明か淡い緑が一般的でよく見かける。
でも、その魚眼石はブルーだったのだ。
場所は津軽半島の付け根。むちゃくちゃ遠いけど行ってみたいなー。

ところで、魚眼石ってすんごく透明でキレイなんだけどイマイチ目立たないよね。英名でアポフィライトっていっても、すぐに想像できる人って少ないんじゃないかな。

アポフィライトのアポは確かギリシャ語で「葉」の意味。
フィラは同じくギリシャ語で「はがれる」。
イトは英語の「~ite」で、「~石」のこと。
 
熱すると薄くはがれて葉っぱのようになることからこの名前がついたそうだ。って、見たまんまのネーミングなんだけど、じゃあ日本名の魚眼石ってなぜ魚眼なんだ。
そこで、ちょこっとしらべてみた。
すると、どの本にもインターネットにも「結晶の輝きが魚の目の輝きに似ている」からと書いてある。
えええー、さかなの、目え?

28-sakananome(wikiyori).jpg

 

そうかなあ。どの光り方をもってしてそういっているのかなあ。 だいいち魚の目なんてまじまじと見たことないし。
たぶん結晶の中で白く光っているのをさしているんだと思うんだけど、強いていうならムーンストーンのシラーのような光り方にも見える。
ムーンストーンはシラーが表面に出るでしょ。それが結晶の中にある感じかな。
どんな光り方をするのか写真ではわかりづらいな。ショップへ行って自分の目で確認してみてね。

そうそう、魚眼石がイマイチ目立たない理由なんだけど、売られている魚眼石ってみんな原石でしょ。水晶や蛍石みたいにタンブルとかアクセサリーに加工されているのって見たことない。だから知名度が低いんじゃないだろうか。

 

28-sakanagannseki(wikiyori).jpg

 
そこで、なぜ加工されないのか考えてみた。
結晶そのものはトパーズにも似ていてとってもキレイ。でも加工したら水晶なのかトパーズなのか何なのかわかんなくなる。これだと、やはり有名な方をみんな選んじゃうよね。
しかも、魚眼石には1方向に完全な劈開(へきかい:割れる方向)があって、非常に割れやすい。これは加工しづらいってこと。
このことはトパーズも一緒なんだけど、トパーズは完全に宝石として流通している。いくら加工しにくくても、それを補ってあまりある価値がある。
さらにトパーズと違って魚眼石は硬度が低くキズつきやすい。それを身につけて外出することができない。
んー、なんだかダメダメづくしだけど、ということは魚眼石は原石にこそ、その美しさがあるといえるのではないだろうか。 

なるほど、魚眼石のような石はムリに人間が手を加えるんじゃなくて、原石そのままを愛でるべきなんだ。

 

28-sakanaganseki2(kesshounosentanbubun).jpg

 

結晶は断面が四角形で先端が錘のようになっているものが多い。先端だけだったらまるでピラミッド。錘の先端は欠けているんじゃなくて必ず平ら。


キズつきやすく割れやすいってことで「ああ、私みたい」って思った人もいたりして。


ここまで書いてきてふと思ったんだけど、もしかしたら魚眼石って、目立ってはいけない石なのかもしれない。
その原石の美しさを、知っている人だけが知っていればいいような、そんな石である気がしてきた。


というわけで、新入生・新社会人のみなさん。いきなり初っぱなから目立ってしまったのでは、後々なにかと疲れてしまいます。まずは魚眼石のように目立たずにじっくり実力を付けていきましょう。
見ている人はちゃんと見ていてくれます。

うわあっ、強引すぎる締めになってしまったぁーっ!

 

【第27回】トルマリン

2008年4月 1日

パワーストーンとかに限らずだけど、ここ10年で石がグッとメジャーになった立て役者はトルマリンだと思うんだ。
ほら、マイナスイオンが出ますってことで取りあげられて、ちょっとしたブームになったでしょ。

でもさ、ハッキリいってマイナスイオンってなんだかよくわかんないんだよね。マイナスばかり持ち上げられているけど、じゃあプラスの方はどうなってるんだって思うわけ。
トルマリンの周囲にマイナスが発生するんだったら、トルマリン自体はプラスに帯電して、たまに触ったりするとビリビリきちゃうんじゃなかろうかって感じもするけど、そんなことないし。
それから、ご飯を炊くときに一緒に入れるとおいしく炊けるとか、お風呂に入れると美容と健康にいいとかって、何かいろんなことが勝手に暴走しているって感じ。

「ちょっとアンタたち、アンタたちに私の何がわかるっていうのっ!」なんてトルマリンの声が聞こえてきそう。

と、こんなことを書いていたら、トルマリンを全否定しているみたいだけど、でもねトルマリンが電気を発生することはまぎれもない事実なんですよ。
日本名も電気石(でんきいし)っていうくらいだからプラスとかマイナスとかに深い関わりがあることは間違いない。

トルマリンが電気を発生するのは熱せられて高温になったときや圧力がかかったとき。当然、地球には気温もあれば気圧もあるから、トルマリンは電気を発生し続けていることになる。
たぶんそこからマイナスイオンってことに繋がっているんだろうね。

そんなトルマリン。トルマリンという名称は含んでいる成分により何種類にも分かれるグループの総称。以前紹介したガーネットグループと同じでトルマリングループを作っている。
その中でメインになっている成分の名を取って○○電気石と名前がついている。英名はぜんぜん関連のない名前がそれぞれについているけど。

憶えておくべき名前はふたつ。
鉄電気石(てつでんきいし:ショール)とリチア電気石(リチアでんきいし:エルバイト)。 

27-tetudennkiisi(wikiyori).jpg

鉄電気石(画像はウィキペディアより)

 

前述したマイナスイオンが出るってことでトルマリンを有名にした立て役者が鉄電気石。あの真っ黒い石炭みたいな結晶のトルマリン。ショップでも1個数百円で売っているよね。
最近、トルマリンサウナっていうのがウチの近所にできたけど、この鉄電気石を大量に使っているんだと思う。

そして次が重要だよ。そう、もうひとつのトルマリン。リチア電気石こそがトルマリンの代表。宝石として指輪やネックレスになっているトルマリンなのだ。

リチウムを主成分とするこのトルマリンは赤・燈・黄・緑・青・藍・紫と、とってもたくさんの色を持っている。しかもパステルカラー。
鉱物名はあくまでもリチア電気石でひとくくりなんだけど、とにかくキレイだからそれぞれの色に宝石名がついている。

 

インディゴライト

27-)indigoraito(buru-torumarin).JPG

濃い青をしたリチア電気石。
青水晶と呼ばれている水晶の多くは、インディゴライトを含んで青くなっているんだよ。

 

ルーベライト

27-ru-beraito(pinktorimarin).JPG

ピンク~赤のリチア電気石。
どちらかというとショッキングピンクが多いから、好みの分かれるところかな。

 

パライバ

27-paraibatorumarin.JPG

青色発光ダイオードのような色をしたリチア電気石。
かなり希少。ブラジルのパライバ州で1989年の1年間だけ産出して絶産。
これまではパライバ州で産出したものだけをパライバと呼んでいたけど、それだと希少すぎてあまりに高価になりすぎる。そのため2007年から同じ色合いのトルマリンなら産地に関わらず、パライバと呼んでいいことになった。
真(?)のパライバにこだわるなら、産地をしっかり確認するべき。

有名どころのトルマリンというとこのくらいなんだけれど、ところがところが、トルマリンには他の石には見られない色の特徴がある。 うーん、これこそトルマリンの真骨頂かもしれない。
それは、なんと! 2つ以上の色がひとつの結晶の中に存在していること。

 

バイカラー

27-baikara-(ru-su).JPG

結晶の上下で色が違う。こんなこと他の石だったら大騒ぎになるけど(赤と青のバイカラーコランダムとかね)、トルマリンではめずらしいことじゃない。
一番人気は赤と緑のバイカラー。

ウォーターメロン

27-watermeron3.JPG

その名の通りスイカ。結晶の内と外で色が違う。
結晶を輪切りにしてみると外側が緑で内側が赤。単純においしそう。
写真の緑の結晶もよくよく見るとウォーターメロンになっている。割ればすぐにわかるけど、もったいなくてそんなことできるわけない。
このウォーターメロン、そんなに高くないし比較的よく売っているから、持ってない人はぜひ手に入れてみて。私はトルマリンの中で一番好き。


というわけで、これら以外にもたくさん名前のついているトルマリン。あまりにも名前が多すぎて宝石業界はほとんど混乱状態らしい。
この混乱を避けるためにも、上記以外はグリーントルマリンとかイエロートルマリンとか色の名前をつけて呼ぶようにとG.I.A.JAPANは推奨しているよ。

27-greentorumarin.JPGのサムネール画像のサムネール画像

グリーントルマリン


さて最後に、このリチア電気石。日本では3か所で見つかっている。
岩手県大船渡市、茨城県常陸太田市、そして福岡県福岡市。このうち茨城県と福岡県の産地は産地自体が国の天然記念物に指定されて採集はできない。
それなら岩手県の方は採集できるのか。天然記念物に指定されていないのならもしかしてと思ってしらべてみたら、なんと漁港を作る際に全部コンクリートで埋めてしまったそうで……。


 

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