すいしょう!
あーもう水晶と聞いただけで、なにこの安心感。
「水晶、すいしょう、水晶」
口に出していってみると、さらに安心感が増す。この語感、この安定感。さあ、みなさん。一緒に叫んでみて。
せーのっ
「すいしょう!」
この石がダントツで人気なのも当然だね。だって言葉にしただけでこんなに心が落ち着くんだもの。パワーストーンとして万能といわれているのもわかるなー。
この水晶、私たち鉱物採集派にとってもダントツで人気ナンバーワン。「鉱物は水晶に始まり水晶に終わる」っていわれているくらい石好きの心をとらえて離さないのだ。
その昔「氷の化石」と考えられていた水晶(氷の化石だよ。なんてロマンチックなんだろう)。
今回から2回にわたって「水晶のいろいろ」を紹介いたします。
コラムの最後にプレゼント企画があるから、しっかり最後まで読んでね。
それでは、真っ先に紹介するのはこれ。
日本式双晶(にほんしきそうしょう:ジャパニーズ・ロー・ツイン)
ハート形だよ。
別名「夫婦水晶」とも呼ばれている。こんな水晶があるんだよ。
パワーストーン的にどんな効果があるの? なんて思った人。そんなこといわなくてもわかるよね。
双晶とはふたつの結晶が、角度とか平行な面とかのある関係を持ってくっついているもので、単にくっついているだけでは双晶とはいわない。
双晶は多くの石に存在するけれど、水晶における双晶がもっとも有名で他にエステレル式双晶やブラジル式双晶などがある。でも、やっぱり日本式双晶が一番かわいいな。
私的に嬉しいのは、この双晶に「日本式」という名前がついていること。世界中から産出するけど、明治時代に日本で多産したことからこの名称になったらしい。日本人として喜ばしいかぎりです。
エステレル式双晶:長野県産
次はファーデンクリスタル。
双晶に似ているけど、ふたつの水晶が一本の軸を中心に左右に成長していったもの。
「成長する」ということで、なにかに伸び悩んでいたり、自分をスキルアップさせたい人にはピッタリかも。
続いてはちょっと指向を変えてガーデンクリスタル。
これは内包物(インクルージョン)により水晶の中にまるで庭園が閉じこめられているように見える水晶のこと。
インクルージョンはいろんなものがあって、それぞれ違った景色が見える。
古代の水を閉じこめた「水入り水晶」なんてものも別にあるんだけど、もしガーデンで水入りだったら本当に庭園になるね。
こんな水晶を自分のデスクの上に置いておけば、仕事のつらさも多少は癒されるんじゃないかな。
同じインクルージョンでも針状のものが入っている水晶がある。
インクルージョンの種類は様々で、それによりルチルクォーツやトルマリンクォーツなど名前は変わるが、鉱物的にはみんなひっくるめて「針入り水晶」とか「ススキ入り水晶」などと呼ばれる。
写真のトルマリンクォーツは自分で採集したものだけど、水晶の中のトルマリンが水晶を突き抜けて隣の水晶に貫入して、まるで水晶に橋が架かっているみたい。
また、ちょっとかわったところで、こんなインクルージョンはどう?
「星入り水晶」とも呼ばれていたりするけど、そのまんまって感じ。
星に見えるのはホランド鉱という鉱物なんだけど、とにかく星がかわいくて、かわいくて。
最近、ビーズになって売っているのをよく見かける。
続いてファントムクリスタル(山入り水晶)
水晶がしっかり結晶として成長した後、別の鉱物が付着し、その後なにかのひょうしでまた水晶が成長し始めた場合、もとの水晶の先端部分が山になって見える。
なかには富士山のように見えるものや山(ファントム)が何重にも重なっているものもあって楽しい。
私たちがよく採集に行く岐阜県中津川市で採れる水晶は、インクルージョンではなく煙水晶のファントムが入っている。
これはもう水晶の性質自体が違っているわけだから、私的にはけっこう貴重品。
最後に松茸水晶(セプタークオーツ)。
なんだか変な形の水晶。でも、おもしろい。
細い水晶がまずできあがり、そののちに地殻変動か何かで成長する条件が変わったためこんな形になったらしい。
途中から新たに成長したわけだから、頭だけが紫だったり、下の水晶が上に食い込みファントムになっているものもある。
あっ! 大事な水晶を忘れていた!!
ダブルポイント(両錘:りょうすい)があったよ。
ダブルポイント:山梨県産
これは不思議な水晶だ。
何が不思議って、上下がわからないじゃい。いったい母岩にくっついていた部分はどこ? って感じ。
大きな水晶にポチッとくっついているものがある。それならわかる。そこから分離した跡のあるものならばまったく不思議ではない。
しかし、まったく跡のないものもあるのだ。
うむむむ、いったいどうやって……。
浮いた状態ででも成長したというのだろうか。
ホントはまだまだいろんな形のある水晶。全部紹介したらそれだけで本一冊書けちゃうくらい。
今回はこれだけで許してねーっ!
次回は色の「いろいろ」だよ。
それでは、プレゼント企画。
以下、編集部からよろしくお願いします。
ついに、ダイヤモンドが日本国内で見つかった!!
かねてより「出るならココしかない」といわれていた愛媛県内でついに見つかったのだ。
今のところ商業的に成り立つ量ではないようだけど、今後研究が進めばどうなるかわからない。
もしかしたら、大きな脈が発見されるかもしれない。
あー、大きさはどのくらいなんだろう。
速攻で天然記念物に指定され立ち入りができなくなる可能性が高いな。
でも、ちょっとでもいいから見てみたい。
ついに日本は真の宝石大国になったのだ!!
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上記は前回のコラムの最後に書いたダイヤモンド発見の速報。
「あー、大きさはどのくらいなんだろう」なんて書いているけど、なんと10マイクロメートルなんだって。
は? 10マイクロメートルって、いったいどれだけの大きさなんだ?
例えばものさしを持ってきて、じっとその目盛りを見る。
一番細かい目盛りが1ミリ。かなり器用な職人ならその幅に細い線を10本くらい描くことができるかもしれない。
その10本の細い線のスキマ。それが100マイクロメートル。
10マイクロメートルというと、そのスキマにさらにもう10本線を描くことになる。
見えないって……。
い、いや。それでもダイヤモンドはダイヤモンド。
今はまだこの程度のモノしか発見されていないけれど、きっと将来1センチ級が見つかるに違いない。
このダイヤモンドが発見された愛媛県新居浜市はずっと以前からダイヤモンド発見の調査がおこなわれていたところ。
私たちも「見つかるならココしかない」と聞いていた。
そしてついに見つかったのだが、ココの地層は四国だけにとどまらず、紀伊半島さらに房総半島にも続いている。
もしかしたら和歌山県、奈良県、三重県そして千葉県あたりも見つかる可能性がある。
それにしても、今後もし大粒の鉱脈が見つかりでもしたらダイヤモンドラッシュが起こること確実。
そしてもし商業的採掘が始まったなら四国に巨大なクレーターができます。
南アフリカのカリナン鉱山やキンバリー鉱山(別名:ビッグホール)なんて、大きな山がブラックホールに飲み込まれたみたいに跡形もなくなってますから。
(画像はウィキペディアより)
さて、ダイヤモンド(金剛石:こんごうせき)はなにからできているかというと炭素からできている。
炭素というと鉛筆の芯だったり炭になってバーベキューで使ったりするそれなのだけど、ダイヤモンドはその炭とまったく同じ成分なのだ。
どこでどう間違ったらあんなにキレイな宝石に変身するのかわからないけど、性質として「燃える」ということだけは同じである。それはもう炭素だけでできているのだからボーボー燃える。
「そんなバカな」といわれるかもしれないが、私は以前ダイヤモンドを燃やす実験をテレビで見たことがある。見事に燃えていた。
ところで、ダイヤモンドの原石は一見あまりキレイでない。
たとえば、アメリカのハーキマーという地方で産出する「ダイヤモンドのようにキレイな水晶」がある。
ハーキマーダイヤモンドと呼ばれているその水晶とダイヤモンドの原石が同じ場所に落ちていたら、100人が100人ともハーキマーダイヤモンドを手にするだろうといわれているくらいダイヤモンドの原石はいまいちパッとしない。
だからこそダイヤモンドは取り込んだ光を全反射させるブリリアントカットが発明され初めて宝石の王様になったのだ。
うちのカミさんも世の女性の例に漏れずダイヤモンドが大好きなのであるが、いかんせん高価すぎてなかなか手が出せない。
それなら原石でとも思うんだけど、ダイヤモンドは他の天然石(宝石)と違い、掘り出されてから指輪などになって売り出されるまで、流通経路が世界規模できっちり管理されている。したがって、原石のままで店頭に並ぶことはパワーストーンショップや宝石店ではあり得ない。
ミネラルショップ(鉱物専門店)に行けば希にだけれどある。ただし、2~3ミリ(0.1カラット以下)の大きさで何万もするけど。
ダイヤモンドの語源はギリシャ語で「征服されざる」を意味するアダマスという言葉からきている。そして、どんなにキズつけられてもキズつかないことから「強い心」の代名詞でもある。
うちのカミさんは重要な人に会ったり重要な仕事があるとき、自分を奮い立たせるために必ずダイヤモンドを身につけて出かけていきます。
(画像はウィキペディアより)