先日、石友から長石(ちょうせき:フェルドスパー)の結晶をもらった。
カミさんはそれを手に取り、ウットリしている。
長石というと石英と並んで地球上でもっとも多い鉱物。それらだけで地球全体の90パーセントを占めているんではなかろうかというくらい、いつも近くに存在している重要な鉱物である。
でもさでもさ、長石って地味だよねー。
結晶の形は美しいと思うけど、透明じゃないし、赤や青の鮮やかな色が付いているわけでもない。
こんな石、今まで採集したこともなければ、気にかけたことすらなかった。鉱物採集をしている者としては失格だろうけど、一般的にはハッキリいって「どうでもいい石」ってことでいいんじゃなかろうか。
だがしかし、石ファンならば誰もが知っているであろう宝石も実は長石だったりするのだ。
代表的なものは4つ。
ラブラドライト、サンストーン、アマゾナイト、そしてムーンストーンがそれである。
ところで、長石は細かく分類するれば20種類以上にわけられるのだけれど、大きくわけるなら「斜長石(しゃちょうせき)」と「カリ長石」の2つにわけられる。
「斜長石」にはラブラドライトとサンストーンとアマゾナイトが含まれ、「カリ長石」にはムーンストーンが含まれている。
「斜長石」とか「カリ長石」なんてことは憶える必要はないんだけれど、宝石としてカットされているサンストーンとムーンストーンにだけは、それぞれ日本名で「日長石(にっちょうせき)」「月長石(げっちょうせき)」という名前が別についている。「斜長石・カリ長石」なんて呼ぶよりも、だんぜん風流だからぜひ知っておいてほしいな。
ちょっとややこしいんだけど、最近よく目にしたり耳にしたりするレインボー・ムーンストーンは「地が白くなったラブラドライト」のことなんだよね。実際にはムーンストーンじゃないんだけど、とびっきりキレイなモノは本家を超える価値があるとされているから、なかなかあなどれない。
さて、これらの石を購入する段になったとき、一番手にとって悩むのは確実に「ラブラドライト」と「ムーンストーン」だと思う。
ラブラドライトは七色に輝くラブラドレッセンス(もしくはイリデッセンス)がなければ意味のない石になってしまうから、売られているものはどれもちゃんとそれが出ている。
だからあんまり神経質にならなくてもいい。強いていうなら、何色が強く出ているか。でもそれは個人の好みだからね。
笑っちゃうんだけど、カミさんが持っているラブラドライトの原石は磨いてある部分にはそれが出てないんだ。磨いてないところにはちゃんと出ていて、「おもしろいから買った」なんてカミさんはいっているけど、ちょっと間違っているような気がする。
一方、ムーンストーンはシラーというユラユラとしたムーンストーン特有の輝きを楽しむため、丸くカットされていることが多い。その中に1本ピシッと光の線が出ているものが良いムーンストーンといえる。
さらに最高級とされているブルー・ムーンストーンは石自体が透明になり、青い光のベールをまとっているように輝く。さすが最高級とされるだけあって、すばらしく幻想的な光を放つんだよね。
(写真のムーンストーンはブルー・ムーンストーンです)
その昔インドではムーンストーンを「月の光が固まったもの」と信じられていた。
幸運をもたらしてくれるというこの石は、もうひとつ、「満月の夜に口にくわえると自分の未来が見える」という石でもある。
妖しい月夜の晩。部屋の明かりを消してムーンストーンからのメッセージに耳を澄ませるのはいかがでしょうか。