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地球のかけら

【第10回】隕石

2007年7月15日

夏になると各地の天文台で天体観測がたくさん行われるよね。天体観測は大気の動かない暑い夜がもっとも適しているから夏に多く行われるんだ。私たちも今年すでに1回富山市天文台に土星観測に行ってきたよ。

天体というと、もっとも身近でもっとも手に取る機会のあるものというと「隕石」。もうこれしかない。隕石は売られてもいるし、自分の足下に落ちてくる可能性だって否定できない。

その隕石、流れ星になって地球に落ちてくるとき、石全体が燃えて比重の大きい鉄が残って落ちてくることがある。
それを鉄隕石とか隕鉄(いんてつ)っていうんだけど、カットして表面を磨いてみると格子模様のようなそうでないような隕鉄特有の模様(ウィドマン・シュテッテン構造)がある。

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石友が隕鉄を文字盤に使った腕時計を持っていて、これがかなりお洒落だった。石好きとしては腕時計とまではいかなくても、1個くらいは欲しいなって思ってる。
 
さて、隕石起源の鉱物というとモルダバイトが有名かな。この石は隕石が衝突したときに地表のケイ素などのガラス成分が熱で溶かされ、大気中に飛び散っている間に冷えてできた天然ガラスと考えられている。
けして宇宙からやって来たわけじゃないけれど、隕石の衝突がなければ存在し得ない石だから、これもロマンを感じずにはいられない。
この隕石の衝突によってできた天然ガラスを総称してテクタイトといい、世界中から発見されている。でもテクタイトは一般的に真っ黒。
それに対し、モルダバイトはモスグリーンの透明なとてもキレイな色。しかも、旧チェコ・スロバキアのモルダウ川でしか発見されていないからとても貴重。
けっこう多く売られているけれど、3センチもあればかるく1万円は超えてしまうことからも、その貴重さがわかるというもの。

そういえばしばらく前、NHKのドキュメンタリーで「砂漠に散らばる不思議なガラス」を特集していたのを見たかな。それもテクタイトのことだった。あれはモルダバイト以上にキレイだったな。
あれもできることなら採集に行ってみたい。でも、エジプトの砂漠の真ん中で、砂漠を進むだけで3日くらいかかるそうだから、たどり着く前に干からびちゃうね。

もうひとつ、隕石起源というよりもろ隕石なんだけど、パラサイトっていう石を知ってる? 発見者のパラス氏にちなんで付けられた名前で、「寄生する」のパラサイトとは単語の綴りが違うからね。

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(画像はウィキペディアより)

 

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(画像はウィキペディアより)

これはなんと隕鉄のなかにペリドット(苦土かんらん石:オリビン)が結晶で入っている。
これはキレイ。むちゃくちゃキレイ。だからすんごく欲しい!
「宇宙好き」も「隕石好き」も「石好き」も、みんな垂涎の的。
だから高い! バカ高!
もう見ることができるだけで十分かなって思ってる。
あー、ウチの庭に落ちてきてくんないかな。

話は変わって隕石の歴史。
隕石というと地球ができたときからバンバン落ちていたはず。そんなこと当たり前すぎて疑う人なんか誰もいない。
ところが「隕石は宇宙から飛来したもの」ってことが科学的に確認されたのは、わずか200年ほど前のことに過ぎないんだ。

当時は天空から石が降ってくるなんてあり得ないと考えられていた時代。ある石を「隕石である」と発表した科学者に対し「宇宙から飛来したと考えるよりも、この人物がウソをついていると考える方が合理的である」と学会は嘲笑し、頑として「地球外」説を否定したそうだ。

ところが、ちょうどそのころから隕石落下が世界各地で相次ぐようになり、目撃談も増え始めた。
それでもフランス科学アカデミーだけは「隕石落下などあり得ない」とかたくなに目撃談を否定していたのだけど、あろうことか、そのフランスに隕石が落下してしまった。
快晴の空の下、大きな火の玉が地表に激突する寸前に大爆発を起こし、3000個ほどの破片となって地面に降りそそいだ。
この事件は近くの村人全員が目撃者となり、さすがのフランスも「地球外」説を認めざるを得なくなったということ。
隕石の研究はこのときから始まったんだ。

隕石ひとつにも、人間のおもしろい歴史が隠されているんだね。
もちろん、今だからこそ笑っていられるけど、もしかしたら現在、200年後に笑われるようなことでケンケンガクガクしているものがあるかもしれないね。
心霊現象やUFOあたりはどう?

 


 

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