石川県小松市にオパールと紫水晶(アメジスト)探しに来ていた私たち。しかし、不注意から石英の破片で指を切ってしまったこともあり、早々にオパールをあきらめ紫水晶探しに切り替えた。
というわけで、オパール産地から車で10分ほど離れた紫水晶産地にやって来た。この産地で水晶が採れるのは1か所だけでなく3か所あると聞いている。
ひとつ目の産地は両手でようやく持ち上がるくらいの巨大なクラスターが見つかるというところ。
しかし、その場所は巨大結晶にふさわしく、赤茶色の大きな岩がゴロゴロ転がっていた。紫水晶は、それらをどかしながら地面を掘って見つけなければならない。
車を降りてその場を一回りしてみると、確かに水晶がはえていた跡のある岩がそこら中に転がっていた。でも、みんな根本で折れている。やはり穴を掘らなければちゃんとした水晶は見つからなさそうだ。
採集開始。
岩をひとつどかしてみる。しかし、その下にはまた岩が。それをどかすとやっと土の部分が見えてきた。ところがスコップをそこに突っ込んでみるとまた岩が……。
悲しいことに岩ばかり出てきて穴はぜんぜん掘り進められない。もちろん水晶が出てくる気配もまるでない。5~6個の岩をどかしただけで私たちは汗だくになってしまった。
これは良くない。こんなことを続けても疲れるだけ。私たちは探し方を変えることにした。
「根本で折れている岩があるのなら、折れたその先があるはず。それを探せばいいじゃないか。その方がよっぽど水晶だ」
私たちは側に流れている小川に行き、川底をフルイがけしてみることにした。
すると、どうやらそれが当たったらしく小指ほどの大きさではあるけど、立派な水晶がポロポロと見つかった。
ただし、残念ながら紫といえるものはない。気分を変えるためにも、そろそろ次の場所に移動した方がよさそうだ。
2か所目はこれまた車で1分も離れていないところ。空き地に車を停めすこしだけ山に入る。その場所は少し急斜面を登らなければならないけれど、表面を探せば見つかるところ。さっきのところのように力は一切使わない。私たちはどちらかというとこんな採集が好きなのだ。
ここまで採集したところで、日が暮れてきた。産地はもう1か所あるのだけれど、それはまた次の楽しみに取っておくことにした。いつもだったら「次の楽しみ」なんて悠長なことをいったりはしないのだが、小松市は家から1時間しかかからない。こんな近い産地はこれから何回も行きたい。そのうちきっと巨大な水晶クラスターも見つかるにちがいない。
下の写真は今回採集した紫(?)水晶。
紫水晶は日本国内でも産地が非常に限られていて、めったに見つけることができない。だから鉱物採集家はその水晶がちょっとでも紫っぽいと、すぐに「紫水晶だーっ!」っていってしまいがち。
今回採集した水晶を見る限り、この産地は単なる水晶の産地かな。若干紫がかってはいるけど、私的にはこれを紫水晶とは認めたくないな。やっぱりお店で売っているようなキレイで透明な紫水晶がいい。
でも、そんな紫水晶、日本ではめったに採れない。
そうはいっても、ぜんぜんないわけじゃあない。下の写真は、昨年宮城県で採集した紫水晶。これなら堂々と胸を張って紫水晶といえる。こんな紫水晶をこれからも追い求めていきます。
石川県小松市にオパールと紫水晶(アメジスト)を採りに行ってきました。
ここはふたつの石の産地が車で30分ほどしか離れていなくて、一日で両方採集できるとってもお得なところなんです。
というわけで、最初はオパールから。
オパールが採れるという小川に下りてみると、足下には細かく割られた乳白色の石がたくさん散らばっていた。
和名を蛋白石(たんぱくせき)というオパールは、もともとは透明か乳白色をしていて、そこに遊色(ゆうしょく:イリデッセンス)が出て初めてプレシャス(貴重な、高価な)オパールと呼ばれ宝石になる。
もちろん私たちも遊色のあるオパールがいいに決まってる。でも、ここに落ちている石に遊色はないだろう。なぜなら、間違いなくこれらは他の採集家たちがさんざん探した跡だと思うから。
新たに遊色のあるオパールを見つけるためには、オパールの入っていそうな石を見つけ、それを割って探さなきゃならない。これがちょっと骨の折れる作業だけれど、だからこそ見つけたときの感動がデカイ。その瞬間を想像しながら私はハンマーを取り出した。
「遊色つきはちょっとやそっとじゃ見つからない」ということは聞いていました。聞いていましたけど、こんなに見つからないものとは思いませんでした。
「ちょっと、そんなに叩かなくていいよ」
ガンガン叩いている私を見かねてカミさんがいった。
オパールは瑪瑙や水晶と同じ「二酸化珪素」でできているけれど、それらと違って結晶していないから軽く叩いただけで割れる。だから、割れないものは初めからオパールじゃない。
しかし、あまりにも見つからないため、私はムキになって石を叩いた。
細かく砕けた破片が顔にパチパチぶつかって痛い。そして次の瞬間、割れた大きめの破片が私の人差し指をかすりカミさんの頭を直撃してしまった。
「痛っ! 何やってんのよ。だから叩かなくていいって何度もいっているでしょ!!」
頭に手を当て尻餅をつきながら彼女が私を睨む。
「ごめん、ごめん」といいながら彼女を起こそうと手を差し出す。
ところが、カミさんはビックリしたような顔をして指先を凝視していた。
「どうしたの指!」
「え? あ、あれー!?」
差し出した手の指先が真っ赤に染まっていた。
そういえばさっきの破片がカミさんにぶつかる前、私の指をかすっていたのだった。
というわけで、オパール探しは中止。しばらく止血に時間を費やしてしまいました。
鉱物採集はけして安全じゃない。もちろん今回は私が悪いのだけれど、ちょっとでも気を抜くといつでも事故が待っているのだ。
オパールの産地はここ小松市の他に福島県と愛知県にあるんです。
私たちは以前、福島県の産地に行ったことがあって、そこはかなり簡単に見つけることができたんで、今回も同じ感じで見つかると期待していたんだけれど、ちょっと甘かったですね。
けっきょく今回は採集できなかったので、写真がありません。
代わりといっては何ですが以前に採集した福島県のオパールの写真を載せました。
こんなのが採れると期待していたんだけど。
すぐ下の写真はコントラストを強調したものです。
A
B
C
D
E
ABCは同じ石。DEは同じ石。
オパールのことは忘れて、次回は紫水晶だ!