石と人間の歴史って凄いね。もう古すぎて何が何だかぜんぜんわかんない。
今のところ石を宝石として使ったもっとも古い文明は古代エジプトなのかな。ツタンカーメンの黄金のマスクに使われているラピスラズリ、トルコ石、カーネリアンがそれ。
でもさ、古代エジプトって遺跡でしょ。ピラミッドもスフィンクスも何のために作られたのかまったくわかっていない。つまり現代に継承されている文化がほとんどない。
日本でも古事記の時代にヒスイや玉の勾玉が作られていた。日本はほぼ単一民族だから勾玉の記憶がDNAに刻み込まれている感じもするけれど、古墳時代に途切れてから1500年以上のブランクがある。
現在、宝石だパワーストーンだっていうのは、すべてアメリカを経由してヨーローッパから入ってきたもので、一般的になったのは戦後のこと。
それなら、ヨーロッパにおける歴史はどんなんだって調べてみると、これがホントにわからない。どんな本を読んでもいつの間にか登場して、いつの間にか人々が身につけてる。
古すぎるんだなこれは。歴史が古すぎてハッキリしたことがぜんぜんわからない。
古いといえば、旧約聖書の「出エジプト記」に、誕生石の起源になった石の記述がある。
「祠祭の胸当てにはめる石にイスラエル12部族の名を刻め」という一節。継承されているという意味ではこれが一番古そう。
そこに出てくる石は、ルビー・トパーズ・エメラルド・トルコ玉・サファイア・碧玉・レシェム石・瑪瑙・紫水晶・貴かんらん石・縞瑪瑙・ヒスイ。もちろん昔の記述だから、書かれている石が現在のそれを指しているとは限らない。
この出エジプト記は3500年くらい前の話だろうから、石と人間との歴史は少なくともこのころには始まってることになる。
聖書の時代が過ぎると、しだいに宝石は「旅のお守り」「命のお守り」「戦のお守り」として権力者が身につけるようになった。
その後中世に近づくと、戦いに勝利した者がその強さを示すために武器を宝石で飾るようになる。本来の機能を失った武具が多く造られるようになったのはこのころかな。スルタンの宝剣なんて、柄にでっかいエメラルドが何個もはめ込まれて握ることすらできない。
最終的に宝石は王冠や笏(しゃく:王様が持っている棒)に使われ、家もしくは国の富や権力を象徴するものになった。ナポレオンも大きなリージェントダイヤモンドを柄にはめた剣を持って戴冠式に臨んでいる。ヨーロッパは今でもその意味合いが強い。
このように見ていくと、宝石は宗教的なものから始まり、パワーストーンとしてその歴史を刻んできたってことがわかる。
じゃあ、現在のように宝石が女性の宝飾品になるのはいつなんだってことになると、それは18世紀になってから。「誰がどこでどうやって」というのは、また次回。